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「ああ、ガーベラ。よく来たね」
変身術の空きコマにガーベラを呼び出したダンブルドア教授は、穏やかに笑って彼女を迎えた。
ガーベラも用件は大体察しているので身構えるようなことはないが、帰りたそうに身体を微かに揺らしている。
「トム・リドルのことですか」
「まあ、そう焦らないで。座りなさい。今紅茶を用意するから」
そう言ってダンブルドアは手ずからカップを取り出し、やかんを火にかけた。
ことこういう些細な作業に関して、ダンブルドアは魔法無しでやりたがった。
ガーベラはいつも通り変な人だな、と思いながらも大人しく示された椅子に腰かける。
深く背もたれに寄りかかりながら、部屋をぐるりと見まわした。
また変なものが増えているような気がする。
妙な形の妙な顔をした置物と目が合って、怪訝に眉を顰めた。
「オキアガリコボシというそうだ。先週、ハンゾウくんがくれてね」
ポットに茶葉をいれながら、ダンブルドアがこちらを見た。
ガーベラは興味なさげに相槌を打つ。
ハンゾーは問題児だったが、ダンブルドアによく懐いていた。
彼の話はイカれているので、他の先生はもう近づかなくなってしまったが、ダンブルドアだけは話をよく聞いてくれるから。
それもにこやかに。
このガーベラにとっても、ダンブルドアは冷や汗をかきながらしゃべらずに済む数少ない人物の一人だ。
「ミルクと砂糖はいらないね？」
「うん。……あざます」
ダンブルドアはガーベラにカップを渡すと、自分も紅茶を手にガーベラの向かいに座った。
テーブルの端に置いてあったかごを引き寄せ、自分も一つ紙の包みを手に取ると、ガーベラにも勧める。
「これもハンゾウくんがくれたんだ。キャラメル、おひとつどうかな」
言われるままに彼女は手を伸ばし、包みを一つ取った。
ぺりぺり包装を剝がして、ころんと口の中に琥珀色のそれを入れる。
おいしいかい、と聞かれて、無言で二、三度頷いた。
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作者名：みや。 | 作成日時：2023年1月31日 12時
