ページ ページ11
.
「彼はこうして、毎年日本のお土産を持ってきてくれる。けれど来年はもう、帰れるかどうかわからない」
「ドイツと仲良いから？」
ダンブルドアは深く頷いた。
「もういつ戦争が始まってもおかしくない。だから、ガーベラ、君の部屋の隣に空きがあるだろう」
「言いたいことはわかりましたけど。アイツ、生活能力あるんですか」
「そこを君がサポートしてやってほしいんだ。……そんな嫌そうな顔をしないでくれ」
ダンブルドアが苦笑してしまうくらいには、ガーベラは嫌そうな顔をした。
「なんで私が……」という顔だ。
彼女は他の生徒のようにハンゾーのことを怖がりはしないものの、半共同生活を送るとなると話は別である。
「普通に嫌だ」
「とは言うもの、なんだかんだやってくれるのが君だ」
「アンタがゴリ押すからでしょ」
キャラメルの入った口の中に紅茶を流し込むと、ガーベラは空になったカップをテーブルの上に置いた。
すると、ダンブルドアがもう一杯を注いでくる。
用件はまだあるようだ。
「君の弟のことだがね」
「彼は知ってるんですか」
「いいや、知らない。知らない方がいいかもしれない」
ダンブルドアは頭痛持ちのように額を押さえて首を振った。
「あの子は……自分の父親が魔法使いだったと信じている。母親が……君のお母上が、マグルだったと」
「あのボンボンが？」
ガーベラはふん、と鼻を鳴らした。
それはマグルへの軽蔑ではなく、トム・リドル・シニアという一人の男への軽蔑である。
彼女はあの男が嫌いだった。
たしかに綺麗な顔立ちはしていたが、それをもって目に余るほど傲慢で礼儀知らずな男だったのである。
リトル・ハングルトンでは、彼の一家はことごとく村人から嫌われていた。
ダンブルドアはそれをわかっているので、諫めることはせず、本題に話を持っていく。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みや。 | 作成日時：2023年1月31日 12時
