恋人はあなた。-９-

27 北山side ページ27

やっとの思いで研修から戻って来たけど、仕事は山積みで忙しい日々は変わらなかった。

二階堂や千賀は、俺と大倉の仕事を引き継いでたこともあって、もうキャパ超え寸前だったらしく、俺や大倉の帰りを激しく喜んでた。

俺も、相変わらずわちゃわちゃしてる二人を見たらなんとなくホッとした。





変わったことといえば、Aと俺の関係。


Aは、俺のプロポーズを受けてくれた。


ホントはこっちに戻ってから１年記念のお祝いをする時に、俺達が付き合うことになった場所で、指環を渡しながら伝えよう…とか考えてたけど。


あの日、気持ちが溢れ出してつい言っちゃった。

あの時のAは、今まで見たことが無いくらいに不安そうで、でもそんな姿も可愛くて…愛しくてたまらなかった。



やっぱりあの日無理にでも帰ってきて良かったな〜って改めて思う。

なんとなくだけど、Aの気持ちが俺から離れかけてるような気がしてた。

…たぶんあの日会わないままだったら、俺はきっと後悔することになってたと思う。


もう絶対離したくないって思ったから、受け入れてくれてマジで嬉しかった。








その後は順調に事が運んで、俺はこの間Aの実家に挨拶に行った。

お母さんには２回ぐらい会ったことあるけど、お父さんは初めてだし、さすがに緊張した。

でも、二人とも結婚には賛成してくれて、最後の方では、酒好きなお父さんとも結構フランクに話せるようになった。



そして、明日はいよいよ俺の実家にAを連れていく。

今回のことを話したら、やっと落ち着いてくれるのか！と、大喜びだった。

Aは電話で話したとき、だいぶ緊張してたみたいだけど、両親のあの様子なら問題無いだろ。







それより今日の俺は、Aが泊まりに来ることの方が楽しみで、ソワソワしてた。


プロポーズしたあの日、そういう雰囲気でお互いその気になってたし、まず一緒にお風呂に入ろうってことになったけど、まさかのタイミングでAに女の子の日がやって来た。


そりゃねーよ…と、身も心もノリノリだった俺はかなり凹んだけど、
｢なんかゴメンね？…私、手伝おっか？｣というAの言葉で、色々妄想し始めたら一人ですぐ抜けた。

だから、今日はその妄想を実現してもらうつもりでいる♪






で、飲み会帰りのAを駅まで迎えに行き、改札の前でスマホをいじってると、｢おまたせ｣という声がした。

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