私は一国の主だああああああ！[2] [戦国basara] (ページ41)

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青空ページ41

忠次と対話を終えると、Aと亜噂はすぐに移動の準備を始めた。

家康の件は重要機密事項として、やはり民には伏せられた。

家康はまだ豊臣のところで働いている、と伝えるそうだ。

忠次はその部屋で、黙って立っていた。

埃っぽい空気を気にも留めず、それと対峙する。

沢山の物が灰色に霞むなか、それだけは光を浴びて輝いていた。

忠次はそれに触れる。

重く、冷たいその感触は、それの持ち主を思わせた。

(家康……)

かつての彼が捨て、そして罪の証として残されていたそれは……その槍は、今も尚輝いている。

(こいつを忘れたのかよ……。俺達を、忘れたのかよ……)

沈黙の返事に、忠次は下唇を噛んだ。

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忠勝はA達と同行する。これは家康の命運を賭けた仕事である。

そうやってまた、民にうそぶいた。

「いってらっしゃいませ！」

「どうかご無事で！」

「ご武運を祈ります！」

民達の激励を背に、忠勝は頭上の空を見上げた。

雲一つない青空。鮮やかな水色が染めたその空間は、まるで一枚の絵画のようだった。

けれど、これでは足りない。太陽がなければ。

忠勝はそれだけ思って、拳を握った。

『さて……準備は出来たか？』

Aに頷く。覚悟はもう決まっていた。

Aは満足そうに微笑むと、指笛を吹いて鈴と琴を呼び出した。

何処からか、甲高い鳴き声と共に現れる二匹。

「忠勝！！」

背後からの声に振り返る。忠次が息を切らして立っていた。

忠次はズカズカと歩み寄ると、ガンと忠勝の胸を叩き、

「家康を頼む。」

そう一言だけ言った。

忠次はここを守らなくてはならない。家康の元へ行けない。

だから託したのだ。忠勝に、その想いを。

忠勝は胸に手を当て、重々しく頷いた。