私は一国の主だああああああ！[2] [戦国basara] (ページ32)

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武器ページ32

「おまちしておりましたよ、つきさきどの」

かすがが襖を開けると、そこには正座した謙信が待っていた。

かすがは不満そうに眉をひそめながらも、Aをその部屋に入れた。

「貴様らは駄目だ。」

「……分かったし。」

一緒に入ろうとした亜噂と官兵衛が止められる。

自らの主にあまり接触させたくないのだな、とAは心の内で理解し、先の舌打ちの意味も納得した。

かすがはスッという音を立て、襖を閉める。

Aは、目の前にした軍神を見据えた。

「あなたからおききしたいことがありまして。」

『私などで良いのですか？この身の上も分からないような小娘に』

「あなたのことはよくきいていますよ。」

謙信は薄く微笑み、Aの目を見据える。

「それに、あなたも、わたくしにはなしたいことがあったのではないですか？」

『！……はい。』

「わたくしでよいのならば、おききしましょう。」

Aは、内心驚いた。穏やかな人格の裏に、こんなに鋭い目を持っていたのか、と。

優しい顔をする謙信に、Aは挑むようにして話しはじめた。

『…私は、形ばかりですが…豊臣に身を置いています。』

Aは、もう何度目かという思いで、今までの旅のことを話した。

話す度に、まるで遠い過去の出来事のような感覚になり、無心になって話すことが可能になっていた。

Aは、つくづく、その自分に憤りを感じていた。

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半刻程経った頃だろう。話し終えたAが、顔を上げる。

その間、謙信は、依然として穏やかな表情を崩さず黙って聞いていた。

その心の内がどうなっているのかは、Aには計りしれない。

「そうですか……まさか、かれが。」

『…家康は狂気に呑まれてしまいました。』

｢いえ、みかぎるのはまだはやいでしょう。」

『そうでしょうか…』

「こころのつよいかれです。そう…しんじましょう。」

そこには、かすかな願いも含まれていた。

「それで……あなたは、とさ(土佐)にむかうつもりですか。」

『政宗公と合流するためにも、そうするつもりです。』

「そうですか…。」

謙信は一呼吸おき、再びAに顔を向ける。

「もし、たびのとちゅうで、もんだいにちょくめんしたら…このうえすぎぐんがたよりになりましょう。」

『！！良いのですか？！』

「ええ。われわれがぜんめんてきにきょうりょくします。」

Aは、まるで大きな武器を手に入れたかのような、そんな錯覚に陥った。