毒蛇 ページ29
Aが目を覚ますと、朝特有の寒々しい空気が肌を触った。
ぼやけた視界に亜噂がいることが分かると、まだ固い体を起こした。
『…おはよう。』
「おはよう、A様。眠れたし?」
『ああ…。夜襲がなくてよかったよ。』
「そんなにぐっすりだったんだし?」
亜噂が苦笑する。
Aは少し乱れた黒髪を後ろで縛ると、銀を持って城の外へと駆け出した。
まだやってるんだな、と亜噂は心の内で呟き、自らもそれについて行った。
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林の中を軽々と駆ける。
無数の木を敵だと思い、全てに攻撃を当てて走る。
昔からやっている訓練だった。
戦場では、周囲は敵だらけである。そのための練習だ、とAの師匠は言っていた。
亜噂も、Aに続いて行く。
特殊な武器故、一風変わった動き方であったが、それもまた武器になると、師匠は言った。
師匠もまた、風変わりな人だった。
何故師匠が、A達を育てたのか、また、何故訓練をしたのか。
それはAには分からない。
一通りのことを終えると、Aは、ふっと息をついた。
亜噂も、少し遅れて到着する。
『少し遅くなったんじゃないか?』
「A様が速くなったんだし。」
『そうだと良いんだがな。』
Aが銀を仕舞うと、鋭い物がAを
どうやら刃物らしいそれは、タンッという心地良い音を立てて静止する。
「毒蛇がいたし。」
そう軽く言って亜噂はスタスタと行ってしまう。
Aの後ろでは、短刀が刺さった蛇がジタバタと暴れていた。
『ならもっとよく狙え。私に当たるところだったぞ。』
「ああ…それはすまなかったし。」
Aは短刀を抜き、再び林の中を駆け出した。
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かえこ(プロフ) - らんさん» ありがとう御座います!! (2020年11月18日 20時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - おもしろかったです! (2020年11月18日 6時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - かえこさん» ばっちりとしかいえねぇ (2020年11月3日 14時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - らんさん» 口調とか大丈夫でしたか?もう、ほぼ勘で書いてます……( TДT)ゴメンヨー (2020年11月3日 12時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - あれだげしかなかった情報で書けるってすごいですね! (2020年11月3日 8時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえこ | 作者ホームページ:ホームページ?ナニソレオイシイノ?
作成日時:2020年8月16日 19時