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Aと亜噂、そして官兵衛は、もう茜色に染まった林のなかを歩いていた。

ズルズルと引きずる鉄球の音が、やけにうるさく感じる。

空は傾きかけ、自らの巣へ急ぎ飛ぶ烏や雁が点々と見えていた。


「A様……」

『どうした?疲れたか?』

「いや…夜が来るし。」

『………そうだな。今夜は野宿だ。』

「こ…これだけ歩いて結局野宿かぁ?!」

『仕方があるまい……越後に付けただけでも大収穫だ。』


Aは少ない荷物を置き、周囲の落ち葉や小枝を集めはじめた。

それに習うように、亜噂も続く。


「忠勝殿と……鈴と琴は無事かな…」

「きっと大丈夫だよ。あいつらは強いからなぁ!」

『ああ。そう願うしかないだろう?』

「…そう、だしね。」


A達の中心に火が灯ると、黒煙が空へ導かれた。

パチパチとなる炎は、今日の悪夢を思い出させる。


『……』


Aは燃え盛る炎で顔を照らしながら、銀を取り出してかざした。

丁寧に磨かれた刃には、逆さまになったAの顔が写る。


(酷い顔をしているな……)


ジャラリ、と鎖が鳴る。先端の重りには、"守"という文字が刻まれていた。

守る。

結局、私は守れなかったよ。

お前は、私を守ってくれたというのに。

また人を殺してしまったよ。


(…駄目だな、夜は。気分が暗くなってしまう。)


黒煙が上る先には、まるで硝子(ガラス)を散りばめたような景色が、果てしなく続いていた。

綺麗だ。忠勝や鈴も琴も、見ているだろうか。

あのなかに、紗銀はいるのだろうか。


「ッAさ」

「動くな。」


亜噂が言うよりも速く、それは触れた。

首に冷たい感触。


『私達は怪しい者じゃない。』

「勝手に領地に入って、何が怪しくないと?」


Aは、ちらと背後を伺う。

見えたのは金髪と、……整った肌。


(おいおい……)


Aは両手を上げ、抵抗がないことを示した。

警戒→←二羽の鳥



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かえこ(プロフ) - らんさん» ありがとう御座います!! (2020年11月18日 20時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - おもしろかったです! (2020年11月18日 6時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - かえこさん» ばっちりとしかいえねぇ (2020年11月3日 14時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - らんさん» 口調とか大丈夫でしたか?もう、ほぼ勘で書いてます……( TДT)ゴメンヨー (2020年11月3日 12時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - あれだげしかなかった情報で書けるってすごいですね! (2020年11月3日 8時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かえこ | 作者ホームページ:ホームページ?ナニソレオイシイノ?  
作成日時:2020年8月16日 19時

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