検索窓
今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:8,440 hit

黒煙 ページ13

『佐助!無事か?!』

「A……!」


Aは二人の傍へ駆け寄ると、銀を取り出した。


『私が信玄公を連れ出す。佐助は先に行ってくれ。』

「あんたの力じゃお館様は無理だ!」

『"私"ならな。"もう一人の私"ならできる。』


意思を固めたAと顔を見合わせ、佐助は少し考える。

時間がないと考えたのか、すぐに頷いた。


「っ………分かった。頼んだよ……!!」


佐助は音も無く消え、そこには黒煙だけが残った。


Aは蒼白な信玄の顔を見下ろし、意識を研ぎ澄ませ、


『BASARA技……』


と呟いた。





---

___やれやれ、結局私か。


突然聞こえた声に、Aは目を見開く。

そこは依然として炎が燃え盛り、熱気が肌を焦がしていた。


本当なら、ここで意識が無くなるはずなのに。


『"私"……?!』

___誤算だったかのような顔をするな。そりゃ、私とて早く代わりたいさ。


その声はまるで幻聴かのように脳内に響いた。

苛立ったように床を殴る。


『何故だ……何故代わらない?!』

___どうも、それを望まれてないらしいからな。


その声が消えると同時に、手に温もりが感じられた。

いや、温もりと言える程の温かさではない。ほとんど死人のような冷たさをしていた。


それでも温もりと言えるのは、その手に込められた力のためだろうか。


『っ!!』

「……自らの家臣を……悲しませては、ならぬ…」


消えかけたような声が絞りだされる。周囲を舞う黒煙が、その喉を毒したためだ。


「お主ともあろう、者が…それを忘れたわけ…では、あるまいな……?」

『……ッ…気がついたのか…信玄公』

「こんなもので……気を失うとは……我ながら、情けない……な……」


自嘲するように笑う信玄。


Aは、その笑みが死を呼んでいることが分かった。


『信玄公……もう、喋らないでくれ…!!』


Aは意識を集中させ、奥底の自分を引きだそうと試みていた。

絶→←海と化す



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.9/10 (9 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
19人がお気に入り
設定タグ:戦国BASARA
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かえこ(プロフ) - らんさん» ありがとう御座います!! (2020年11月18日 20時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - おもしろかったです! (2020年11月18日 6時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - かえこさん» ばっちりとしかいえねぇ (2020年11月3日 14時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)
かえこ(プロフ) - らんさん» 口調とか大丈夫でしたか?もう、ほぼ勘で書いてます……( TДT)ゴメンヨー (2020年11月3日 12時) (レス) id: aec05404df (このIDを非表示/違反報告)
らん(プロフ) - あれだげしかなかった情報で書けるってすごいですね! (2020年11月3日 8時) (レス) id: 632a5f4028 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かえこ | 作者ホームページ:ホームページ?ナニソレオイシイノ?  
作成日時:2020年8月16日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。