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『それ、彼奴に渡すんだろ?』
私の手にあるカップケーキを晋ちゃんは指差す。机に置いておいたら神楽に食べられちゃうかもしれないから、一応ここまで持ってきたのだ。
少々照れ臭いながらも晋ちゃんの質問に頷けば、「上手く出来たのか?」と片方の眉を下げる。
『ちゃんと美味しくできたもん!』
以前失敗した物を晋ちゃんにあげてしまった前科があるため、彼は「どうだか」と言いたげに肩をすくめた。
それに対して小さく笑うと、晋ちゃんも笑い返す。
『……なら、早く渡して来いよ』
ほら行けと背中を押され、私は前のめりになりながらも一歩二歩と足を前に出した。振り向きざま晋ちゃんに「ありがとう」と言えば、優しそうな表情を一瞬だけ見せてくれる。
私は空き教室から自分の教室まで戻るも、そこにはもう彼の姿はどこにも居ない。
帰ってしまったのかもしれないと下駄箱まで行くと、確かに彼の靴は無く代わりに上履きが入っていた。
お気に入りのパステルカラーの傘を開き、雨の中一人彼の家へと向かう。
時折水溜りに映る自分を見つめては、「よし」と傘の手持ち部分を握りしめて力を込めた。
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ハル(プロフ) - りんごあめさん» りんごあめさん! またまたコメントありがとうございます!! そうなんですよ、高杉にフラれるんです。もう涙なしではかけませんでした笑 今度は高杉をカッコよく書く作品出したいなあとは思ってますので、その時も閲覧よろしくお願いしますね! ありがとうございました (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 音想さん» 切なすぎて銀さんがー……と私自身思っていたのですが、最後は無事にハッピーエンドを迎えました! 大好物でしたか! それは嬉しいです( ´ ∀`) これからもどうかよろしくお願いします! コメントありがとうございました! (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 本当に、ハルさんの作品は何を読んでも最高です!面白いだけじゃなくて、なんかその話にのめり込めます笑 私も高杉が大好きなので、振られるなんて…(;´Д`)ウウッ……と思いましたが、銀さんのかっこよさがヤバかったです!!とにかく、本当に良かったです! (2017年10月19日 0時) (レス) id: 7662a2da74 (このIDを非表示/違反報告)
音想(プロフ) - 切なすぎて尊すぎて死にそうでした…こういうの大好物です。凄い好きだー!!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!これからの作品も楽しみにしています! (2017年10月18日 1時) (レス) id: 7258d80b20 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - あかあしえいたくんさん» そうなんです笑 最後の銀さんかもしれません笑 信者!? 私にも信者がいるなんて……! あかあしさんは私の信者のオンリーワンですね笑 ありがとうございます! その言葉を励みにこれからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくどうぞ( ´ ∀`) (2017年10月12日 16時) (レス) id: 728b0d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年10月10日 18時