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『溜め息吐くな』
掃除の時間、溜め息ばかり吐いている私を沖田は怪訝そうな顔で見てきた。それに「ごめんごめん」と軽く謝るも、先日銀ちゃんから告白された情景がまた瞼の裏に浮かぶ。
再び無意識に溜め息は口から漏れ、沖田はやれやれと言いたげに肩をすくめる。
『……お水あげちゃうね』
今掃除しているのは中庭で、ここの掃除当番の人は花に水をあげなければならない。
私は水が満タンに入ったジョウロを持つのだが、手が滑ってそれを全部自分にかけてしまう。
『鈍臭っ……』
私を哀れみの目で見てくる沖田は、早く着替えて来いと私の濡れた服を指差す。それに申し訳なくも頷き、私は教室に戻ることにした。
またもや溜め息は口から零れ、慌てて口を塞ぐも曲がり角の向こうに誰かがいることが分かる。コッソリと影から覗くと、そこにいたのは晋ちゃんと他クラスの女の子だ。
何しているんだろう……と気になった私はそのまま息を殺して彼らの様子を伺う。
『高杉くん、好きです』
……ああ、やっぱり彼はモテるんだ。カッコいいし、ちょっと厨二くさいけど根っこは優しいのである。
私だけが好いている訳はないことくらい知っていたが、実際告白現場を見るのは堪えた。
『悪いが、俺は好きじゃねェ』
晋ちゃんはそう言って女の子に背を向けてしまう。私の時よりも尖った返事に、少しだけ……ほんの少しだけ彼から特別扱いされてるんだということが分かる。
でもそんなのしなくていい。
そんなことされて仕舞えば、まだ諦めきれなくなってしまうから。
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ハル(プロフ) - りんごあめさん» りんごあめさん! またまたコメントありがとうございます!! そうなんですよ、高杉にフラれるんです。もう涙なしではかけませんでした笑 今度は高杉をカッコよく書く作品出したいなあとは思ってますので、その時も閲覧よろしくお願いしますね! ありがとうございました (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 音想さん» 切なすぎて銀さんがー……と私自身思っていたのですが、最後は無事にハッピーエンドを迎えました! 大好物でしたか! それは嬉しいです( ´ ∀`) これからもどうかよろしくお願いします! コメントありがとうございました! (2017年10月27日 21時) (レス) id: 580f86dcac (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ(プロフ) - 本当に、ハルさんの作品は何を読んでも最高です!面白いだけじゃなくて、なんかその話にのめり込めます笑 私も高杉が大好きなので、振られるなんて…(;´Д`)ウウッ……と思いましたが、銀さんのかっこよさがヤバかったです!!とにかく、本当に良かったです! (2017年10月19日 0時) (レス) id: 7662a2da74 (このIDを非表示/違反報告)
音想(プロフ) - 切なすぎて尊すぎて死にそうでした…こういうの大好物です。凄い好きだー!!こんな素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!これからの作品も楽しみにしています! (2017年10月18日 1時) (レス) id: 7258d80b20 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - あかあしえいたくんさん» そうなんです笑 最後の銀さんかもしれません笑 信者!? 私にも信者がいるなんて……! あかあしさんは私の信者のオンリーワンですね笑 ありがとうございます! その言葉を励みにこれからも頑張っていきたいと思いますので、よろしくどうぞ( ´ ∀`) (2017年10月12日 16時) (レス) id: 728b0d0f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年10月10日 18時