よし、番外編へ行こう。と思った今日この頃。【文スト】 参。

ドナドナ・over the rain様リクエスト ページ24

IF話。


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『……っし。コレで大丈夫なはず！』



バシン、と勢いよく敦君の背中を叩いた。そこには今しがた私が処置をした青痣と湿布が貼ってあり、怪我をしている部分を躊躇いなく私が叩いてしまったせいで敦君は「痛ったぁ！？」と悲鳴をあげる破目になった。あごめん。

涙目で恨みがましく睨まれたが、そもそも彼が虎の異能力をきちんと制御できていればこんな怪我は余裕で治せるのだ。別に私が恨まれる筋合いはないし、大体先生の鉈(なた)の錆になるところを救ってあげたのだから御礼だって云われても良い。



「医者志望な癖に性格が残念過ぎる」

『今すぐ先生にチクってあげようか』

「待ってホントやめて」



やいのやいのと騒ぎながら、勝手に借りていた医務室から私達は出た。あぁちなみに云っておくが、先生とは与謝野晶子先生の呼び名だ。此方の世界に来るまで医者を目指していたのだが(まあ引き籠ってたんだけど)、本当に医者の人と同じ職場で働けるとは……。いやはや、今でも夢心地である。


探偵社員が怪我をすることはあまりないが、それでも切った張ったの大立ち回りはよく行う。それで怪我をした場合、勿論治療を行うのは先生になるのだが──勘のいい読者なら判るだろう。




「凪さんいた──ッ！ あぁ良かった！ 今すぐこれ治してくれないかな！」

『ザッキーまたかよ！』

「ザッキー誰！？」




とどのつまり、治療(解体)されたくないのだった。



それ故に先生よりも私の方が、些細な怪我をした場合には救護として呼び出される。小指を棚にぶつけただけでも解体しようとする先生と違って、適切な処置を丁寧に行ってくれる私は最近女神のように崇められてきた。やめてくれあんたら。

谷崎君はよく怪我をする。ほとんどの場合ドジを踏んだりしてくるのだけれど、普通に重症を負った時も此方に来るのはやめてほしい。私は医者志望なだけであって医者ではないのだ。医療の知識なら断然先生に負ける。



「おやァ、谷崎じゃないか。怪我したのかい？」

「ひィ！ いやあの、これちょっと包丁で指を切っただけでねえ凪さん」

『いや、もう先生が出て来た時点で私にはどうもできない。御免ね』

「あああああ」



ズルズルと医務室へ引っ張られて行く谷崎君にドナドナを歌ってあげたら、国木田さんに悪魔でも見るかのような目で見られた。


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この世界だったら滅茶苦茶与謝野女医と凪ちゃん仲良くなってそうだなー。

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