…そうだ、番外編作っちゃおう！と思った今日この頃。【文スト】 弐！

花火大会、いざ ページ10

ＮＯside

花火大会当日。結局全員浴衣で行く事になり、金は総て福沢が出してくれた。男性陣はレンタルだが、女性陣はとある伝手で貸して貰えたらしい。

ちなみに男性陣の誰が訊いても微笑むだけで、決して答えてくれなかった。



「此処が待ち合わせ場所だね？」

「その筈だが」



青碧(せいへき)色の浴衣を着た太宰が訊いた。松葉色の浴衣を着た国木田は、手帳を見乍ら答えた。

萌黄色の浴衣を着た賢治は道行く人々に、朽葉(くちば)色の浴衣を着た乱歩は人々が食べている菓子に、それぞれ目を奪われていた。

月白色の浴衣を着た敦は人の多さに圧倒され、浅縹(あさはなだ)色の浴衣を着た谷崎は同様に顔を引き攣らせていた。



「もう予定時刻になったが……遅いな」

「何かトラブルでもあったんでしょうか……」



国木田が呟き、谷崎が心配そうに辺りを見回したその時、快活な声が響く。



「ほォら、自信持ちなって！アンタが真逆こんな逸材だったとはね！」

「そうですよ凪さん、とってもお綺麗ですわ！」

『違う、こんなのは私じゃない！いやいやいや、離して下さいィィィ！！』



叫び声が聞こえた。如何考えても凪の声で、その前は与謝野とナオミだった。

沈黙。



「…………あっ、居た」



敦が云った。皆其方を見て＿＿絶句した。



『……ほらあああ！皆何か固まってますよ！ねえ!?』

「大丈夫ですわ、きっと凪さんに見惚れているだけですわよ！」



三人の美女、美少女に何人もの視線が釘付けになる。


ナオミは長い髪を結い上げており、白いうなじが見えていた。漆黒と菖蒲(しょうぶ)色の組み合わせの浴衣が未成年と思えない色気を出していた。

与謝野は茜色を主(ベース)にし、何匹もの蝶がその体に舞っていた。自信満々な口許は笑みをかたどっており、大人っぽさが伺える。

凪の浴衣は上は白、下が鮮やかな花により黒に近い紺青(こんじょう)に染まっていた。顔にはきちんと化粧がされて、ほんのり赤く染まっている。


人々の視線はそれぞれ三人に注がれていたが、探偵社員は違った。全員凪を注視していた。



『……何すか。何か文句ありますか』

「……え？あっ、いや何でも……ないよ…………うん」



太宰が答えた。だがその視線は確りと凪に注がれており、凪は怪訝そうな顔をする。


＿＿何時もの凪は気怠げで女子力皆無。だがしかし今は如何だろう。




化粧が施され、綺麗な浴衣を着た凪はまさしく美少女だった。

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