『Moonlit night』 86 ページ6
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「君を守ると言っていたのに…ごめん…遅くなって…」
「軽い緊張性気胸? そういうことでよかった、本当に大変なことでもあったらどうしようと、無謀に!!!」
「とにかくAの技術すごかったぜ!! 何て言うか、Aのイメージに ピッタリって言うか! とにかく素敵だった!」
順番に一哉君、一郎太君、守君、見慣れた顔たちは、あの子のベッドをぐるりと取り囲んでいた。 うっすら笑いながら頭を弄るあの子の視線が私に止まった。
驚いた表情で口をぱくさせるあの子にわざと足音を立てて近づいた。
足音にみんなの視線が私に注がれた、込み上げる感情を懸命に抑えながら、あの子の幼なじみたちに軽く目で笑い、ベッドに座っているその子の隣に立った。
「お母さん…」
「うっ…」
しゃがれ声がのどをかきわけて出てくるように流れた。
努めて抑えてきた感情が爆発するのは刹那の瞬間で、気がついた時はその子の頬が赤く腫れている。
「おばさん…!」
「あんたという子は、いったいどういうつもりで…!!!一生人工呼吸器をつけて生きたいの?!」
「おねがい、おとなしくしていて·····何もしないで····お願いだから…」
わき上がった感情が気が抜けるように膝から崩れ落ちた。すすり泣くように言ったが、涙は出なかった。
あまりにも複雑な感情なのでよく分からないが確かなのはすまないことが9割だ。
______
「…ごめんね」
「いいえ, すこしは落ち着きましたか···?」
「ええ…」
「Aはそんなに深刻ではありません。
急に衝撃をたくさん受けて瞬間的な呼吸困難だそうです。」
「ありがとう。君たちは大丈夫なの?」
「何人かは入院中です。Aは良好な方です。」
「そう···」
気まずい雰囲気の中で私とあの子を離したのはあの子の幼なじみだった。
冷水を浴びせるように頬を打つ摩擦音の後、荒い息づかいだけが静寂を満たし、その息の詰まるような病室からあの子の幼なじみの手に引かれて病室を出た。
やっと落ち着く私に一郎太君が状況説明をしてくれた。
「おばさんは…Aがサッカーをするのが嫌なんですか?」
守くんがひどく仏頂面をしてそっと尋ねた。
いやだ、というよりは怖いという言葉が正しいだろう。
「私も、良くわからないわ···」
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バナナ牛乳(プロフ) - かなりさん» コメントありがとうございます!!お久しぶりです、かなりさん!エイリア編を書き始めて前の編に書いてくださった応援を見て頑張ってました!また読んでくださってとっても嬉しいです!これからも頑張ります! (2020年10月8日 18時) (レス) id: ae8dbd98b4 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - お久し振りです!この小説は、ドキドキとワクワクが重なっているような小説です。私は、この小説がずっと大好きです!!これからも体に気をつけて頑張って下さい!ずっと応援していますし、この小説をずっと応援していますし !! (2020年10月8日 9時) (レス) id: 0892eb2e6e (このIDを非表示/違反報告)
バナナ牛乳(プロフ) - 青の柘榴石さん» コメント、応援ありがとうございます!!面白く読んでくださって嬉しいです!!主人公の性格は一番気をつけて、繊細に描寫するんです、好きになってくれて満足です!これからも頑張ります! (2020年9月30日 14時) (レス) id: ae8dbd98b4 (このIDを非表示/違反報告)
青の柘榴石(プロフ) - 面白くて一気に読ませていただきました!主人公のお姉さん感もすごく好きで読みやすいです!これからも更新、大変なこともあると思いますが頑張ってくださいね!!応援してます! (2020年9月30日 4時) (レス) id: 15d1d9b223 (このIDを非表示/違反報告)
バナナ牛乳(プロフ) - ★みら☆りずむ★さん» コメントありがとうございます!! エイリア編が思ったより長くなる予定です...終わったら世界編もアレスも書く計画です。イナGOは私も書きたいです!!!無印編でGOキャラの誰かと繋がりが有るかも知れません!これからもよろしくお願いします! (2020年9月29日 8時) (レス) id: ae8dbd98b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バナナ牛乳 | 作成日時:2020年8月6日 1時