もう一つの輝き [ エイリア ] 1st『イナイレ』

『Ｍｏｏｎｌｉｔ ｎｉｇｈｔ』 96 ページ16

「豪炎寺！！」

「絶対、帰ってこいよ――!!」




円堂の叫びが空中に響いた。




彼の後ろ姿をじっと見ていたAが彼に駆けつけて手を握った。




はっとした豪炎寺は目を見開いてAを見た





豪炎寺side.




俺の手を握るAの手を少し冷たかった。




同時に彼女は消毒薬の匂いがした。




確かその時、試合の反動で病院で治療を受けたことの痕跡だった。




妹を守れなかった、好きな女も守れなかった。




むしろ彼女が俺とチームを守ったことに近かった。




自分を「サポーター」と称してためらわずに立ち向かうその姿と包帯だらけの今の姿は実に異質的だった。




うつむいた頭を上げて、Aの顔を眺めた。




大きな目に涙がにじんでいた。青い瞳が水を飲み海が宿ったようだった。




「お前…なんで…」




「君が泣かないから、私が代わりに泣くの。」




「俺は…今」




「豪炎寺くん、どういう事情かよくわからないけど、豪炎寺くんは悩みとか大変なことを全部一人で溜め込む癖があるんだ。今もそうでしょ。自分を責めたりしないで欲しいな。」




「…」




「いつか、いつかね。 君がその悩みをすっきり打ち明けることができる私になっているから。必ず戻ってきてね。豪炎寺君はフィールドにいる時一番輝くの」




涙をふきながらAは言った。




赤くなった目元と白い肌が対照的だった。




流れる涙が透明な肌を濡らした。




可憐に見えるが、俺よりもっとたくましいかもしれない彼女は、いつもの微笑みを浮かべた。




「A」




「一度だけ抱きしめてもいいか」




Aは何も言わずに俺を抱きしめた。




俺はAを打ち砕くようにぎゅっと抱きしめた。




彼女は消毒薬の混じったAのにおいがした安定感が感じられる匂いだった。




Aを俺の胸に閉じ込めるように、俺はより強く抱きしめた。

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