もう一つの輝き『イナイレ』 (ページ16)

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昔話 6-3 ページ16

その言葉を最後に男の子の治療がある程度終わった。

スカートをぱっとはたいて立ち上がると男の子が私の手を握った.

"…佐久間次郎"

"うん?"

"俺の名前、佐久間次郎。"

"ああ、私はAA"

"あ、これハンカチ"

"今度会ったときに返して。いつかはまた会うよ。その時は自分を好きになっていてね。"

頭を軽くなでて、後ろを振り向いて歩いた。暗くなった空に星が輝いていた。

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佐久間side

"AA"

手に握られたハンカチを広げて彼女の名前を呟いた。

空色に小さく雲模様の刺繍が入っているのがAとよく似合うと思った。

いじめられてからだはあちこちが痛かったが、どこかすっきりした感じがした。

"それに、男の顔と女の顔って、区別できるものじゃないよ。君は君らしいのが一番だ。男みたい、女みたいに閉じ込められるには君がもったいない。

"だから自分を嫌わないで"

そう言われたのは初めてだった。微笑みながら話すその姿は、まるでヒーローのようだった。

俺は彼女のハンカチを折りたたんでポケットに入れた.

＇確かにあの制服は帝国中だよな。'

また会おう……か。