7話 ページ8
「矢っ張り!君もこの本に興味あるんだねぇ!«完全じさつ読本»!」
本の題名を聞いて俺は顔を引き攣らせる。なんて言うものを読んでるんだ。
あまりにも物騒すぎる。少年の顔は今はそれ相当のものの笑みなのだが、さっきの本を読んでるときの表情は大人びてるというか……空虚を見てるような気がした。
「どうかした?」
口角を上げて笑う少年の顔は何故か俺には虹彩が酷く濁っているような気がした。
この少年は何を見ているのだろう。
「否……一つ質問していいか?」
どうぞ、という少年の顔を見る。先程までろくに人と喋れなかったのに、この少年には緊張せず話せる。不思議だ。
俺は最初にあった時から疑問だったことを問う。
「お前は……なんでそんなに、虚無を見ているのだ?」
「……なんでそう思ったの?」
少年の口角が更に上がった。目に光は宿っていない。
「なんとなく、俺に似てるからだ。孤独で、理解者がいない。そんな目をしていた。」
本当になんとなくだ、と俺は付け足す。すると少年は寂しそうに確かにそうだね。と笑った。
その笑みは今にも消えそうな、さっきの笑みとは違う。この表情こそが少年の顔は本性だ、と俺は確信した。
「そこでだ。俺に一つ提案がある。」
俺は言葉を区切り、少年の顔を見る。真剣に此方を見ているようで、早く言えと急かされている気がした。俺は息を小さく吸い、こう告げる。
「俺と……友達にならないか?」
俺がずっと言えなかった、一言。この少年と友達になりたいと心から思った。
少年は僅かに目を見開いたような気がした。その瞳は横にゆらゆらと揺れている。
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らずぴす(プロフ) - *ふわ*さん» ありがとうございます!とっても嬉しいです!!更新頑張ります! (2019年5月1日 15時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
*ふわ* - 初コメ失礼致します!主人公くんの性格その他もろもろ込みでこの作品のファンです!!更新頑張ってください!応援してます!! (2019年4月30日 20時) (レス) id: 18cb4fa1f4 (このIDを非表示/違反報告)
らずぴす(プロフ) - 薙(nagi)さん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです! (2019年4月28日 21時) (レス) id: cd5ea6550c (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 好きです((設定とか主人公の立ち位置が好みです!もう産まれてきてくれてありがとう!(?) (2019年4月28日 19時) (レス) id: ea3376027d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らずぴす | 作成日時:2019年4月19日 19時