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小夜曲7 ページ46

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「詐欺?」


先に身請け話を持ち掛けたのは実際に身請けをした男の知り合いだった。妓女が夢遊病を装い一度は破談にする。その後本命が半額で身請けを成立させる。


「妓女には年季が残っていて、男には金が足りなかった」
「つまりその妓女と姫は同じということか」

幼馴染の憲兵は姫に求婚できる身分ではなく、それでもいつか姫を迎えに行くつもりだった。しかし姫は後宮へ入ることとなる。姫は彼を思っていたので、御目通りで失敗することで気を引かないようにした。目論見通り身綺麗なまま、下賜が決まると歌を歌いだし怪しげな徘徊をするようになる。



「間違っても、御手付きにはならぬように」



純潔を重んじる姫はほかの者と夜伽を行った時点で顔向けできないだろう。東側で踊っていたのはその彼が東方に配備されていたから。

「あくまで、これは憶測ですが」

「上のもんが考えることってのは分からねぇもんだが、なきにしもあらずだな」

リヴァイが少し困った顔をしている。

それもそのはずこれはノアらとはほぼ無縁の、可憐な恋の話だ。
隣にいるこの人がその感情に落ちている姿など想像できないがこの様子を見るに気持ちを理解することはできるのだろう。



「なあノア」
「はい」



「俺がそいつを羨ましいと言えば、お前はどう思う」


絹糸のような黒髪がそよ風になびいている。いつも研ぎ澄まされている鋭い目は憂いをふくんでいるようにも見えた。



「少なくとも、悪いとは思いません」



壁の外にでるという意味は同じでも、調査兵であるノアたちとは意味も抱く思いも何もかもが違う。しかしだれもが幸せを羨望している。実際あの晩のセレナはとびぬけて美しかった。


「そうか、ならいい」




恋が人を美しくするならそれは一体どんな薬になるのだろう。
遠くを見据えるリヴァイの横顔を、ノアはしばらく眺めていた。







『これは憶測ですが』第一幕 ー完ー

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寿司(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とてもありがたいです。続編についてですが修正のため一時公開を制限しておりました。只今パスワードを解除しましたのでお知らせいたします。これからもよろしくお願いします。 (12月15日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - とても好きな作品でいつも続きが気になっています。続きが気になって読みたいのですがパスワードを解除することはできないでしょうか? (12月15日 17時) (レス) id: a8542e33a5 (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます!拙文ではありますが楽しんでいただけると嬉しいです。 (11月21日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 自分の好きな漫画のクロスオーバー!!中々ない組み合わせなのでめちゃくちゃ嬉しいです!! (11月7日 21時) (レス) @page16 id: bda3c5db2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:寿司 | 作成日時:2023年10月14日 23時

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