小夜曲２ ページ41
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ルシャナ・アンダーウッド。
訓練兵時代からの同僚とノアは壁外調査を終えてから初めての休暇でピクニックに来ていた。
緑の葉をたっぷりと茂らせた柳の大木の下は、2人だけの場所だった。
さらさらと流れる小川、葉擦れの音、都会にはない花々の香りが鼻腔をくすぐるこの丘でおしゃべりなルシャナのとりとめのない話を聞くのがノアは割と好きだった。
体の弱い母の為に安定した給金と母を守れる強さが欲しいと憲兵を目指していた彼女は、訓練兵時代には惜しくも上位10名には届かずとも駐屯兵から地道に武勲を立てていきたいと涙ぐましい努力を誓っていた。ノアが調査兵団へ異動になったとき飛び出しそうになるほど目を見張っていたが、いずれバレるとリヴァイの下についたことをやんわり伝えれば幼い子のように無邪気に手を取られ喜ばれたことも記憶に新しい。
ルシャナはどんな日常だとか普段の兵長はどんな人だとかありふれたことを根掘り葉掘り聞いた中に、また噂話を持ってきた。夜な夜な壁の上で踊る女の霊が散見されているらしい。ばかばかしいと思ってしまったが巨人という非科学的な存在のおかげで、幽霊の1体や2体目撃されてもおかしくないのかもしれないと考えなおした。
｢でもノア、よく無事でもどってきたね！」
｢きっと運が良かっただけだよ｣
｢運も実力のうちだって！｣
｢……でも本当によかった｣
おもむろに呟いたノアに、興奮冷めやらぬ様子だったルシャナははっと押し黙る。
｢死んでたら、ルシャナとこうやって喋ることもなかったから｣
いつもノアはどこか達観したような態度であった。しかしかどわかされて不本意に兵士になって、年季が明けるまで粛々と職務を全うしていくつもりが戦線に出向く立場になってしまったことに不安がないわけではなかった。
死ぬことは怖くない。ただ、花街で一人自分の帰りを待っている養父に、いつまでたっても訪ねてこないと不思議がっているだろう
｢ノア」
｢うん？｣
｢また来ようね、ここに｣
かわいらしくて優しく溶けてしまいそうにルシャナは笑った。
約束、と差し出された小指をノアはいつくしむように見つめた。
｢そうだね｣
しっかりと絡めた小指を2、3度ゆらゆらと揺らし合った。
柳の葉の間から差し込む光があたたかな午後だった。
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寿司(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とてもありがたいです。続編についてですが修正のため一時公開を制限しておりました。只今パスワードを解除しましたのでお知らせいたします。これからもよろしくお願いします。 (12月15日 22時) (
レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - とても好きな作品でいつも続きが気になっています。続きが気になって読みたいのですがパスワードを解除することはできないでしょうか？ (12月15日 17時) (レス) id: a8542e33a5 (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます！拙文ではありますが楽しんでいただけると嬉しいです。 (11月21日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 自分の好きな漫画のクロスオーバー！！中々ない組み合わせなのでめちゃくちゃ嬉しいです！！ (11月7日 21時) (レス) @page16 id: bda3c5db2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寿司 | 作成日時：2023年10月14日 23時
