向日葵みたいな君8

294.ずっと ページ8

「謝って済む話じゃない
　謝られても困るのは分かってる

　謝りたいってのは
　私の勝手な気持ちだし

　その分、また照史を傷付けたのも分かってる

　それでも、ずっと謝りたかった」




また視線を俺に向けると
心から申し訳無さそうな表情で

震える声を必死に抑えながら





「照史の事
　たくさん傷付けてごめんなさい

　最後までワガママばかりで
　本当に、本当にごめんなさい」





と深く頭を下げた

顔を上げると
また柔らかく微笑みながら

震えて掠れた声で続ける





「私の話を聞いたら
　しんどい思いするって分かってるのに

　来てくれて……
　聞いてくれて……

　本当にありがと」






うっすら目に涙を溜めながら

堪えるように深呼吸をして






「ずっと会いたかったよ、照史」と
ニコリと笑った





伝えたい言葉も
伝えなアカン言葉も

沢山沢山あるのに

体も動かないし
何一つ言葉にならない





せめてこれだけは
絶対に伝えなアカンから





締まる喉を必死に開いて言う





「俺も…ホンマに…ｯ…会いたかっ…た」





俺に謝る事でスッキリするなら
それでええ


なんぼでも言うたらええ


彼女の気持ちをぶつけてくれたのが
何より嬉しくて

同時に

俺のあの日の言葉で
こんなにも思い悩んで居たのかと思うと





申し訳なくて
心が痛くてたまらない








何で俺は指輪を捨てたんや


何で俺は写真を破ったんや


何で俺はあの時怒鳴って責めたんや






一生後悔せぇ



ほんで



絶対忘れるなよ







この言葉

この笑顔

滲んだ涙

震える声







俺をこんなに思ってくれる人を
どれだけ深く傷付けたか
心に刻みつけろ






「俺も……ｯ……ゴメ…ｯ」






止まらない涙で言葉が出ない

俯いて顔を上げられない

そんな俺の背中を
Aは優しく優しく撫でている





「照史、ありがとう」





小さく聞こえた声に
更に涙が溢れて





思わず彼女を抱きしめた

295.伝わらない→←293.橙side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す