【128】お土産 ページ42
一般的な女子高生なら、そんな子供向けヒーローのグッズを貰っても喜びはしないだろう。ヒーローのイラスト入りなんて使い道もない。思春期ならば「こんな恥ずかしいものは持てない」と言うはずだ。
けれど彼女はそんな子ではない。
雅臣「Aちゃんは優しいから……何でも受け入れてくれる」
弥「……?」
ふたりが話をしていると、ステージに照明がつきはじめた。幕内から出てきた番組スタッフが大声で叫ぶ。
スタッフ「はーい、皆さん。そろそろ本番が始まりますんで、お静かにお願いしまーす!」
その言葉に観覧席の親子はみな静かになる。中には自分の子供の口を手で塞いでいる親まで見られた。
スタッフ「はい、それじゃ本番始まりまーす。5・4・3〜2…… 」
カウントとともに、いつもテレビでお馴染みとなっているオープニングテーマ曲が流れ始める。暗かったステージは、数々の照明に当てられて真夏の太陽の下にいるかのような強い光を帯びた。
雅臣「……ねぇ、弥」
弥「……?」
次々と出演者が登場してきて盛り上がりをみせる会場。
戦隊ヒーローたちが各々のパフォーマンスをするたびに、子供たちが「ワアッ」と歓声をあげた。
そんな中、雅臣は弥の耳元に話し掛けた。
雅臣「……さっきのAちゃんのお土産だけど……弥と僕でひとつずつ選ばない?」
ほら、絵麻ちゃんにも2つ買ったし__と付け加える。
弥「うん、いいよ!」
すでに弥の視線はステージ上に釘付けだった。
その一方、
雅臣はせっかくのステージにあまり興味を抱けなかった。それどころか、頭の中ではあるひとりの人物の顔が浮かんでは消えて……戦隊ヒーローが客席に呼び掛けてきても上の空だ。
雅臣(……ああ)
だから、隣に座っていた弥も知らないだろう。
ステージをぼんやりと見つめながら、会場でただひとり……雅臣が悩んでいたことを。
483人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美優 - 雅臣が何て言ったのか、これからの話が凄く気になります。更新頑張って下さい! (2018年3月19日 10時) (レス) id: 79c6c44529 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - すっごく面白いです。更新待ってます!! (2017年9月25日 7時) (レス) id: e2830e86e4 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になるのですが、このストーリーはこれで終わりなのでしょうか? (2017年3月7日 20時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
☆NATU☆ - この小説大好きです。これからも応援しているので更新頑張ってください!! (2016年10月27日 17時) (レス) id: 1d0876d3b6 (このIDを非表示/違反報告)
智代 - 続ききになるなー!これからも応援してます! (2016年7月16日 23時) (レス) id: a125dbb856 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あややん | 作成日時:2014年11月3日 1時