【115】出血のち ページ26
雅臣は自分のこめかみから流れる血も気にすることなく、男に語りかけた。
その表情は無表情。何も感じられない。
雅臣「だから…僕を殴って気はおさまったのかと訊いたんだ? なんなら彼女が汚してしまったらしいスーツのクリーニング代も払うよ。いくらがいい?」
雅臣は自分のポケットから財布をだすと、1万円札を男になげつけていく。
雅臣「1万、2万……5万……もっと欲しい? なら、この財布に入っているだけのお金をすべて出そうか?」
ここまでいくと、もう花見客もその異様な光景に目をむけている。
いつのまにかカラオケの音も止んでいた。
男1「ば、ばかにして・・・・・」
雅臣「さぁ、早く欲しいだけのお金を拾ってここから去ったほうがいい。きっと、さっきあなたが僕を殴ったから、ここのお客さんの誰かが警備員を呼びにいっていると思う。もし、警備員がきて今の状況を見たら、どう思うかな?」
男1「く、くっそぉおおおおおお」
男はAを放し、雄たけびをあけながら逃げて行った。
お金は1円も持って帰らなかったようである。
雅臣「……大丈夫、Aちゃん?」
そして男の姿が見えなくなると、雅臣は腰を抜かして地面に座り込んでいるAを立ち上がらせた。
A「ま、まさおみさん……」
雅臣「……怖かったでしょ、もう大丈夫だからね」
ツンと、雅臣からは酒の匂いがした。
どうやら彼も、少なからず酔っているらしい。
しかし、今はそんな場合ではない。
A「ま、雅臣さん、血が!それにお金も!!」
どくどくと出血し続けている雅臣の顔。
血が顎を伝わって襟元を汚していた。
お金にいたってもまだ地面に広がったままで、風が吹けば吹き飛んで行ってしまいそうだ。
Aはまず、雅臣の怪我を心配し、その顔に手をのばした。
A「ごめんなざい、ごめんさい、雅臣さん!私のせいでこんな……」
雅臣「……かすり傷だよ、医者の僕が言うんだから問題ない」
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美優 - 雅臣が何て言ったのか、これからの話が凄く気になります。更新頑張って下さい! (2018年3月19日 10時) (レス) id: 79c6c44529 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - すっごく面白いです。更新待ってます!! (2017年9月25日 7時) (レス) id: e2830e86e4 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になるのですが、このストーリーはこれで終わりなのでしょうか? (2017年3月7日 20時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
☆NATU☆ - この小説大好きです。これからも応援しているので更新頑張ってください!! (2016年10月27日 17時) (レス) id: 1d0876d3b6 (このIDを非表示/違反報告)
智代 - 続ききになるなー!これからも応援してます! (2016年7月16日 23時) (レス) id: a125dbb856 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あややん | 作成日時:2014年11月3日 1時