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食事を済ませホッとひと息
老婆は食器を持って立ち上がった
『あー!おばあちゃん!食器は私が洗うから置いといてよ!』
「アー」
頷く老婆はそのまま歩き出して外へ
『もー!!絶対わかってない!』
慌てて立ち上がる
『アシ(リ)パ、杉元ニ(シ)パ!ごめんちょっとゆっくりしてて!』
両手を合わせ2人に背を丸めた
「うん」
ヒラヒラと手を振り見送る杉元
その場を去ったあと杉元は素早く気配や辺りを確認
Aは完全にいなくなったようだ
そして帰ってくる気配もない
「ずいぶん馴染んでるね」
「ああ。Aがこのコタンに来てもう5年は経つからな」
「え?じゃあアシ(リ)パさんたちと暮らしたのって……」
「結局暮らしたのはたった数ヶ月だ」
「……。すぐ離れたい理由でもあったのかな…例えばやましい事があったりや見られちゃいけない人物と接触してたり…とか」
「!」
その含んだ様な言葉に目つき鋭く男を見た
「Aを疑うのか!いくら杉元でも許さないぞ。アイツはウナ(ラ)ペの為に寝る間も惜しんで狩りを覚えたんだ」
「アシ(リ)パさんはAさんのことを信頼してるんだね」
「………」
自身の父を失った時
ずっと側で温もりをくれた
背中から感じる熱に頬を埋めたのだ
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