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ツーンとそっぽを向く少女
その仕草に彼女が杉元にとても懐いている事を悟り
『へぇ〜〜』
ニヤつく
「なんだA」
『別に〜〜?』
その視線を嫌がるアシ(リ)パ
「?」
状況を理解していない杉元
「ならそのニヤケ面やめろ……」
何やら長い棒をチラつかせ威嚇
『やだあ!!』
「はい出た!ストゥ!」
ストゥとはーー
制裁棒。村人の中に窃盗や殺人など悪い行いがあった場合制裁を加えるための物で乱用は許されない
「A。ネン カ エ(ク) ヤ?(A。誰か来たのかい?)」
『おばあちゃん!』
洗濯物を持ち現れた老婆
「ウナ(ラ)ペ」
「アシ(リ)パ?」
先程したようにしゃがみ込む老婆とアシ(リ)パ
その仕草はまるで親戚のように親しみが
『おばあちゃん!』
挨拶を終えた老婆に笑いかける
『こっち杉元ニ(シ)パ!アシ(リ)パと来たんだよ!エ(ク)!エ(ク)!あとお土産!ほら、鹿ー!ユ(ク)!今食べる??食べたーい!』
「アー」
嬉しそうに頷く老婆は鹿を受け取り火を強めた
「おばあちゃんは言葉わかるの?」
アシ(リ)パに視線を向ける杉元
「いや。ウナ(ラ)ペはシサ(厶)の言葉は分からないしAもアイヌの言葉はあんまり喋れない」
彼女は2人を満足そうに眺めた
「だけど分かるんだろうな」
「………」
通じ合ってるとでも言うのだろうか
確かに言葉の理解と言うより表情で意図を読み取っているように見える
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