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3ー1 ページ21

小樽へ到着

売りに行き金を作ったあと銭湯へ
アイヌには風呂に浸かる文化があまり根付いておらずシサ(ム)と呼ばれる和人に比べ風呂に入る機会が少ない

ゆえにゆっくりと風呂に入れる時間はこういう機会にしかないのだ

銭湯を出たあと自分の消耗品と土産を買ってアシ(リ)パの住むコタンへ向かう

もうすぐ夕暮れ
彼女が戻ってきていたらちょうど夕飯時に会えるだろう。土産が役に立つ

雪道を歩いていると

『!』

突然、川岸から水が跳ねる音

聞き逃してしまうくらい小さな揺れに耳を澄ませる

『……鹿でもいるのかな』

腰についたタシロを抜き毒を刃に塗り進行方向を変え川へ

銃や弓は持っていないので鹿などは狩れないが狩るために確認しに行くのではない

この時期は冬眠から目覚めたヒグマが出る
それに冬眠しそこねたヒグマかも知れないのだ

もし危ないヒグマだったら狩らなければ人が襲われる可能性がある

日が落ちると何も見えなくなってしまう北海道の夜は一刻を争う

『……』

私と暮らすおばあちゃんは娘をヒグマに殺されている

その時聞いた話だが女は狩りはせず、してはならず山へ入らない
出会ってしまったら祈りヒグマが離れていくのを待つしかないという

娘はどういう気持ちだったのだろうか
抗えず術を持たない人間は教えを守るのだろうか

ウイルクさんに運良く狩りを教えられた私には理解できない気持ちにタシロを握る手が強くなった

3ー2→←2ー3



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作者名:( 'ω') | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年6月13日 18時

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