肆 ページ5
「失礼ながら拙者は貴殿と会うのは初めてだと思うが...」
少年は戸惑いながらもAの手を優しくとって半身を起こす
「...それは一体どういう...」
「なんだか背が縮みましたか?」
「それに、口調も変わって...」
笑いながら冗談混じりにAは言うが少年は何が何だか分からない顔をしている
「人違いではないか? 拙者の名は...」
突如はっと思い出したように少年は自身の言葉を遮って慌てるように走り出した
「お、お待ちください!どこに行くのですか!」
「すまない、大事な用がある事を忘れていた!」
「また会った際に話を...」
「ちょっと...!」
Aは追いかけたが
既に少年の姿は見えなかった
そしてまた普段の日常通りに鳴神大社はしんと静まりかえる
Aにとって長年待ち続けていた想い人が自分の目の前に現れたというのに一瞬にして去ってしまったのだ
ほんの数分前の出来事が夢のようだった
「.....ほんとになんなんですか!!」
Aの声が誰もいない空間に響き渡った
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作者名:ねね | 作成日時:2023年12月4日 22時