episode2 ページ4
次の日。
真選組全体での会議で、Aのことが議題になった。
俺の隣りにいたAに、隊士のほとんどが目を奪われていたように見える。
俺の予想通り、会議が終わると山崎をはじめとした隊士軍団がAの所へ押し寄せて来た。
「Aさん、俺は山崎退っていいます!あの、あんぱん好きですか!?」
「ええ、嫌いでは無いです。」
山崎のすっとぼけた質問にも、Aは律儀に答える。
俺は面倒になって、Aの手を引いた。
「A、行くぞ。ここにいたら埒が明かねぇ。俺は仕事があるんだ。手伝ってくれ」
「はい。それでは山崎さん達、また後で。」
えぇーっ、と不満そうに言う隊士軍団を置いて、俺とAは副長室に戻った。
「…っと、じゃあお前はこの書類を整理しといてくれ。」
俺が大量の書類を渡す。
Aは嫌がる素振りも見せずに、机に向かう。
「「………………………………………………」」
変に長い沈黙に耐えられず、俺は口を開いた。
「…なぁA、お前なんでここに来ることになったんだ?」
すると、Aは一瞬だけ手を止め、こう言った。
「私は夜兎族の末裔。実の両親は私のことを恐れ、養子に出したのです。次に私を買ってくれた方も、私が純血の夜兎族だと知ると、私を捨てた…それを繰り返し、私は幕府の上役に買われました。その方が、真選組に身を置くように言って下さったのです。」
「……そうか。」
「…副長様も、本当は嫌なのでしょう?私のような“忌み子"が、小姓になるなんて」
「…何言ってんだ。ンなことある訳ねェだろ。俺は1回世話すると決めたもんは最後まで突き通す性格なんだよ。
お前が夜兎族の末裔だろうと、絶対に捨てたりしねぇ」
俺が言うと、Aは少しだけ目を細め、
ありがとうございますと言った。
…なんだろう、俺…何か変だ。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:祐衣ヾ(*ΦωΦ)ノ土方love | 作成日時:2017年8月3日 15時