episode10 ページ12
Aは歩みを止めない。
「……………が……………ね」
鈴の音のような声が聞こえた。
次いで、銃声。
Aが撃たれた、と思ったのだが……
パシィ_____
「え……?」
あろうことかAは
表情を変えないまま弾丸を掌で払った。
ひらりと飛び上がり、
俺を拘束している浪士の目の前で叫んだ。
「お前がッ…………死ね……!!!!!」
目にも写らぬ速さで浪士から刀を奪い取り、
額から一斜線を描くように振り下ろした。
バシュゥッ______
バタリ、と浪士が倒れる。
気づけば、浪士は全員死んでいた。
「A……」
俺が顔を見上げると、Aはいつもの表情に戻っていた。
「副長様……沖田隊長……山崎さん……」
そう残すと、ふわりと地面に崩れ落ちた。
「私の、本当の名は__________________」
その瞬間、俺だけに聞こえた声。
「え_____?お前、何言って……」
バタリ)
「姉さんっ……!」
腕が使えない俺たちの代わりに慌てて総悟がAを抱き起こす。
疲れたのか、気を失っている。
「……ふふ、可愛いですね、Aさん」
山崎が安心したように笑顔をこぼした。
総悟も、
「姉さんの寝てる顔、綺麗でさァ」
と、微笑んだ。
……やっぱり、俺はお前に惚れちまったよ……
「……A……」
倒れる瞬間…………お前は、
…なんて言おうとしたんだ……?
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作者名:祐衣ヾ(*ΦωΦ)ノ土方love | 作成日時:2017年8月3日 15時