033 ページ33
.
次々と上がっていく花火に周りは「おぉ…」やら「わぁ…」やら感嘆の声を漏らす。
全ての人の目がそこに集中して、
全ての人の瞳にカラフルな色が写し出されて、
全ての人の心を鷲掴みにしていく。
やっぱり、花火は夏に合う。
「おぉ、すっげぇ、、」
「なんか、子供みたいな反応だね」
「いや、だってこんなのテレビでしか見たことねぇもん」
「………滅多に見に行かないもんね」
花火の音や周りの声にかき消されないように、いつもよりほんの少し大きめの声で話す。
お互い顔は合わせずに。
だって、1回でも目を離したらいけない気がして。
全てこの目で見て、頭に記憶しておきたくて。
この瞬間、全てを逃したくない。
「綺麗だね…」
「……うん」
彼のその小さな間が分からなくて、少し右に視線をずらすも彼のことは見ずにまた色とりどりに染まる夜空に戻した。
都会の空に広がる怠慢の花達。
日本の花火を見るのはいつぶりだろうか。
(来て、よかったな……)
.
もうすぐで終わるだろうなというところで、1人ポツリと呟く。
「……こっち見てくれたって、」
「いいのに」とは声に出さなかった。
Aちゃんはずっと夜空に咲く花に目を奪われているのか、1ミリたりとも視線をずらさない。
彼女の瞳に映る色とりどりの光が、今は綺麗、ではなく、
羨ましい、と思ってしまった。
Aちゃんはこの日のことは全て、“偶然”から生まれたと思っているらしい。
俺以外誘わなかったのも、
俺の事を誘ったのも、
花火を選んだのも、
全部全部。
それに俺はちょっと、いや、かなり期待した。
でも、
…………でも、俺はそれは違うと思うんだよな。
【この世に偶然なんてない、あるのは必然だけだ】
誰が言ったのかわからない言葉が頭の中に浮かんでは消えていった。
.
27人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時