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「うわぁ…これはやっぱり人多すぎるわ、、」
「どっか座れる場所、あるかな」
「あそことか?」
「なんで川辺じゃなくて水辺を指すの」
少し歩いて着いたそこは、想像よりもたくさんの人達で溢れていた。
もう既にどこもかしこも場所取りはされていて、出遅れた感が拭えない。
「あ、あそこ空いてる」
「お、やったじゃん」
少しだけスペースの空いた場所を見つけて、2人で腰を下ろす。
生憎、私たちにはレジャーシートやらタオルやら下に敷くものなんて必要ない。
というか、持ってくるわけが無い。
「俺らの住んでるとこじゃ有り得ねぇよな、こんなの」
「ほんとそうだね」
「ここよりかは静かな方だし、人は多いかもしれないけど」
「こんなにthe都会って感じじゃないしね」
「the都会って言い方いいな」と彼は軽く笑った。
少しこれは、人が多くてむさ苦しい気はする。
普通ならこんなに人が集まるところには行かない。
あの神社のお祭りくらいの人の数なら、まだ平気なんだけど…
でも今日は私が誘ったんだし、彼と約束したんだし、大丈夫かなと思って来たんだ。
まぁ案の定、多すぎてちょっと今気持ち悪くなりかけたけど。
「こういうとこ、Aちゃん苦手だよな」
「……うん」
「なのに誘ってくれて、ありがとな」
「………うん」
彼はなんでもお見通しだから、別に隠す理由もなにもない。
でも、こういう人が入り乱れてる所は苦手ってこと、一言も言ってないはずなんだけどな、、
…………なんで、知ってるんだろ。
ちらっと頭の中に、この前言われたカラ松くんの言葉が流れた。
「……全部私の思いつきだからね」
「うん」
「深い意味なんて、なんもないよ」
「うん、知ってる」
そう、全てはタイミング。
さっきも言ったけど、“丁度”が上手く重なったってだけ。
ただ、それだけ。
なんの脈絡も、計画も、考えも、ない、
全部私の気まぐれなんだ。
「もうすぐ始まるよな」
「うん、そろそろだね」
そう言った十数秒後に川の水に映りながら、1輪の花が大きな夜空に広がった。
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時