《三角関係》2 ページ38
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「(こーゆう時は寝るに限る)」
虹村が向かったのは保健室。
混乱しているせいか、気疲れしているせいか
保険医は虹村の顔を見るなり『顔色悪いわね…大丈夫?』と優しい言葉をかけてくれたのだ。
熱はなかったが『少ししんどい』と言うと担任には伝えておくから寝ているようにとトントン拍子に事が運んだ。
幸い虹村以外は誰もいないらしく、保険医も担任に伝える為席を外している。
「寝れねぇ…」
眠ろうにも普段この時間に眠ることなどなければ
特に体調が悪いわけでもないので、なかなか虹村には難しいことだった。
それに加え1人の空間と言うのは色々と考えてしまうもので
「あー…クソ」
なぜだか苛立ちでいっぱいになってしまう。
そんな虹村の耳に、少しだけ開いた窓の外のグラウンド体育をする生徒達の声が聞こえてくる。
そういえば2年達は女子がテニスで男子がバレーだとか言ってたなぁ…と数日前の黄瀬との会話を思い出して耳を澄ましてみる。
断じて盗み聞きだとか、女子のキャッキャッする声が聞きたいとか、そんなやましい気持ちはない。
1人であれこれ考えるよりはずっと良い…と一体誰に言っているのか、そんな言い訳をしながら虹村は耳を澄ます。
笑い声、かけ声、叫び声
そして
『橙乃さーん!次私とペアねー!』
……
ガバッと起き上がって思わず目を凝らした視線の先には体操着の彼女がつまらなそうにラケットを振る姿。
見ている限り真面目にしているようには見えないが、ペアを作れなかった人や下手な人の相手をしているようだ。
「実はお人好しなんだよな」
ククッと思わず笑ったのがまるで聞こえていたように
くるりと振り返った彼女の視線が自分を捉えているように思えて『いや、それはない』と今度は苦笑いをする。
『橙乃さん!危な…っ!!』
そんな声が聞こえてきたのは、その声が明らかに今までとは違って大きく焦っていたからだった。
恐らく打ち返せなかったボールがそのまま流れ、その先にいたのが彼女で
それは丁度彼女の頭部辺りをめがけて飛んでくる。
「っ…!!」
思わず目を見開いて身を乗り出したが
彼女の運動神経の良さは伊達ではない。
かなり無理のある大勢だったが見事ボールを受け止めた。
素手で。
「運動神経とかの問題じゃないだろ!!」
虹村のツッコミが虚しく静かな保健室に響いた。
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玲加 - やっぱり橙乃ちゃん可愛いですねぇ(*´ω`*) (2015年12月13日 12時) (レス) id: 6d2fbf750f (このIDを非表示/違反報告)
みゆ金魚(プロフ) - 秋捨さん» ありがとうございますっ!!そんなお言葉…本当に励みになります!これからもよろしくお願いします! (2015年12月4日 8時) (レス) id: 2491f4371f (このIDを非表示/違反報告)
みゆ金魚(プロフ) - marupan@赤司様愛してます*。★さん» 待っておりますツイツイでもどこでも!← うふっ。この三角関係は俺得すぎてもうヨダレが(((← (2015年12月4日 8時) (レス) id: 2491f4371f (このIDを非表示/違反報告)
marupan@赤司様愛してます*。★(プロフ) - 更新された瞬間に見ました…!やっべえやっべえ神がおる((なに歯形って。え。え。可愛い過ぎか。語り足りないので続きはいつも通りツイツイの方で((( (2015年12月4日 1時) (レス) id: adb4ed548d (このIDを非表示/違反報告)
秋捨 - ずっーと愛読させてもらってます!なんかもう原作にしてアニメに組み込んでほしいくらいです(笑)もっともっと評価されるべきだと思っておりますキリッ イラストも大好きです(*´∀`*)これからも応援しています!長々とすみません (2015年11月27日 1時) (レス) id: 0ea50ef59d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みゆ金魚 | 作成日時:2015年7月30日 1時