自由系女子は止まらない

《２人の悪魔は》3 ページ31

.





「ねぇ、最近また桃井さんと橙乃さん仲良くなったよね〜」


パーマをあてすぎたせいか少し傷んだ毛先をクルクルと指で回す女と


「あー…でも、もう止めといた方が良いんじゃない？
この前だってキレた橙乃さんに10人がかりで武器もって挑んで負けちゃったんだよ？
あの人もう化け物でしょ」


長い黒髪を念入りにクシで手入れし続けている女。




この２人こそが今回の元凶そのものだった。


いわゆるリーダー的な存在で
数人の女子を後ろ盾に彼女への不満を溜め込んでは理不尽に人を痛めつけるような者達。



「けどさ、途中からなんでか灰崎君乱入してきたよね。
あんな問題児まで手懐けてるとかどんだけ大物なんだっての。
あー…ムシャクシャする」



「てか橙乃さんって結局お人好しって言うか…馬鹿だよね。
黙っててやるからもう関わるな、とかさ
優しくて強い自分に酔ってんじゃない？」




彼女を痛めつけるどころか返り討ちにあったにも関わらず
懲りずに笑い声を上げる女達の元に

1歩、また1歩と

ゆっくり確実に近づいてくる彼ら。




「黄瀬、A達は？」


「２人でお昼食べるって中庭に行ったの確認済みっス」


「で、赤司。どうするつもりだ？」


「どうもしないさ。きちんと話をするだけだ」


「でもよくザキチン教えてくれたよね〜」


「Aさんに口止めされてたみたいですけど
やっぱり灰崎君も思うところあったんでしょうね」


「当然なのだよ。このまま終わらせるなどありえん」


「でも虹村先輩にバレたらちょっとシバかれるかもな」


「大丈夫さ。虹村さんが聞いたらきっと俺達と同じこと…いや、それ以上のことをしていただろうからね」


「なんスかソレ怖い」




６人の足音がピタリと止まり、キャッキャッと笑い声の漏れる空き部屋の扉を睨みつける。





「…行くぞ」




赤司のその一声に、これ以上ない怒りが込められていることなど
顔を見ずともわかった。

そしてそれは彼ら全員に共通していることだった。



「ウチのマネに手出したらどうなるか思い知らせてやるぜ」


「女の子同士の喧嘩には口挟まない主義っスけど…
ま、これは別っスわ」


「フン…然るべき対処をとるのだよ」


「うのちん泣かすとか超重罪だかんね〜」


「きちんと全員に謝ってもらいましょう」







今、制裁が下る。






.

《２人の悪魔は》4→←《２人の悪魔は》2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す