玉柱は宵に現れる〈鬼滅の刃〉

12ノ亊~冨岡義勇の逢瀬 ページ13

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間もなく朝日が顕れる頃




此処は街座から離れた場所で


月の光が1番近いところである



大きな屋敷の


辺りには魅惑な香りを蔓延させている月下美人









俺はこうして時折、此処に来る

否、逢いに来ていると言った方が正か









冨岡｢………………留守｣









すると足音が徐々に近付く


其の矢先を見つめると、両手に月下花を抱え


銀髪の彼女が微笑んで見つめていた









『貴方が来るって予感はしてたのよ、義勇
どうぞ上がりなさい』









彼女の神秘的な存在に未だ慣れない




胸が疼(うず)く、寶ぎゅっと服を握った




抑えていた









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居間に入ると既に早めの朝御飯を用意していた


卓の上には食を唆るご馳走が並べられていた









『義勇の好きな鮭大根も用意したのよ
冷めないうちに頂きましょうか』







冨岡｢……ご馳走になる｣







鮭大根を前にして普段見せない笑みを零す









『美味しい？』







冨岡｢美味い…………何れも｣







『其れは良かった』






彼女は巾着袋から美しく輝く宝石を

一粒飲み込む

見慣れた光景だ









実際俺は宝月嫻Aの事を知らない


過去の生い立ち等、その秘められた強さも


知らない









『…………知りたい？』









冨岡｢……否｣









強く心の中で考え込むと何故か彼女に見破られる

無性に恥ずかしくなる








『我を全て知っているのは産屋敷様唯一人
昨日私を護ってくれた御礼として一つ教えましょう』









義勇は箸を置いて正座のまま真剣な眼差し

で聞く









『過去にある鬼と刀を交わった、階級は上弦
この左眼の傷はその戦いで得た物
然しその時は未だ鬼殺隊でも無く、産屋敷様に会う前の話……』









冨岡｢(鬼殺隊に入る前から上弦と戦っていた……？となると強さは未知数)

その上弦の鬼は殺せたのか｣









『いいえ、ただその鬼は瀕死状態の私に留めを刺さず姿を消した……ある言葉を残して』









冨岡｢……｣









『奴も我と同じだった、太陽を拒み月光を好み
何時しか陽の光を克服したいと思いつつある
もしも太陽を浴びたらどうなる…』









彼女は二層に重なった襖を勢いよく開ける









冨岡｢……っA!!!｣









『________単純よ、体が燃えてしまう』

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