悪女は今日も口紅を塗るｰ虞ｰ

+31．盤上の盤秤 ページ33

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『苦痛なら上げても構わないわよ、……其れ共貴方の花を咲かせましょうか？』







手には鋭い銀色のナイフを持って鏡花に接近する

と同時に首に擦(かす)り傷を与える

徐々に血が首筋に流れる









鏡花｢私なら殺してもいい……卦度探偵社と人命を殺さないで｣





怯えること無く必死に訴えようとする表情

それに対し拳を強く握り締め苛つく女王







『善者に成ったつもり？自身の命ヲ簡単に捨て置くつもりなのね……実につまらない、だったら御望み通り貴様の命はこの時迄』









ナイフを一回転させ鏡花の胸に突き刺そうとした時









扉が開く









小林｢お取り込み中失礼致します我が女王様
内部に探偵社が侵入しました。其れに嗅ぎ付きマフィアも此方に向かって来ておりますが如何なさいますか？｣






刃を混凝土に落とし部屋から出ようとする






『命拾いしたわね小娘、この飛行船も数十分すれば爆破する残骸は横浜に墜落する仕組み、折角気に入ってた家具も塵となる残念ね、卦度之も計画通りの範囲内』






そう告げて再び光もない部屋に戻る









鏡花｢……きっと助けてくれる。｣









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警報ブザーが赤く光らせ鳴り響く

硝子張りの見晴らしが良い空間の中央で

優雅に優美な女王が独りでチェスを進める






『………吾の相手では勝敗の行方は難しい物ね』









然して頑丈な扉は飛ばされ突破される


煙と塵で散乱する


黒い化け物が咳をしながら此方に向かう









芥川｢首領の命じだ、御頭の首を持って帰れとな｣







『其れは物騒な事で、然し舐められた物ね貴様は独りで私の首を取りに来たのかしら？』







敦｢僕もいます、監視が甘かったので鏡花ちゃんの身柄は確保しました｣







既に一部獣化とした虎が現れる







芥川｢人虎僕の邪魔はするな、貴様も八つ裂きにする｣









『戦闘に特化した獣共か両者とも切り札を真向に出すとは呆れたもの……、』









会話の途中で咄嗟に黒い獣が目の前を横切る

机もチェスも切り裂かれていた

彼女は椅子に座ったまま戦慄する事なく優美な姿勢を取る







芥川｢駄弁(たべ)りは底迄だ、次は亡(な)い、長樽者身を隠している等有り得ぬ、姿を曝け出せ｣









『其れは困りましたわ、





_______________ではチェックを掛けようかしら』

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