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雨が282粒。 ページ10

目を覚ましたのは、執務室のソファでだった。時間は午前六時を少し過ぎた頃。





任務の後、あのまま寝てしまったのだろう。




なら、運んでくれたのは中也さんか。だが、当の中也さんは何処へ?




辺りを見回せど、彼の姿は無かった。






「淋しい。」






彼の居ない空間は寒く思えた。



寒く、淋しい。彼が居ないと。




其れ程迄に、私は知ってしまった。人の、彼の温もりと愛を。







「中也さんが居なくても慣れないとな。」






一人の空間に。



元々一人だった訳だし、大丈夫だ。



計画を進める為にも、彼とは少し距離を置こう。




少しずつ離れれば大丈夫だ。







「大丈夫、大丈夫。」






言い聞かせる様に何度も云った。



少しすると中也さんが戻って来た。起きていた私を見て、はよ、と短く云った。







「お早う御座います。昨日は済みません。寝ちゃったみたいで。」


「気にすンな。最近寝不足なんだろ?隈、出来たぞ。」


「あはは……色々忙しくて。というか、中也さんは大丈夫なんですか?私より寝てないでしょう?」


「俺は善いンだよ。」


「駄目です。」






中也さんの手を引き、ソファに座らせる。私も隣に座ると、中也さんの頭を自分の膝の上に於かせた。







「ちゃんと休んで下さいよ。倒れられたら困るんですからね。」


「慣れたから善いぞ?」


「慣れないで下さい。」


「名前が云える事じゃねェだろ。」


「…兎に角、寝て下さい。学校も休みますよ。まぁ、元から休む心算でしたけど。」







それでも中也さんは大丈夫だと云い張る。私だって引く心算は無い。




無理矢理にでも中也さんを休ませたい。







「お願いですから寝て下さい。貴方が倒れたりしたらと思うと心配なんですよ。」


「倒れねェよ。」


「そう云い切れる証拠なんて無いでしょう?中也さんだって人間なんですから。善いですか、之からちゃんと任務を進める為に貴方に休んで貰いたいんです。」


「そういう言い方は狡ィぞ。」


「ふふーん!」







勝ち誇った気分に成り、胸を張る。中也さんは少し悔しそう。







「次の任務の作戦は後で練りましょ。ね?」


「……一時間経ったら起こしてくれ。」


「ふふっ、判りました。」







中也さんは目を閉じ、夢の世界へ行ってしまった。其の証拠に寝息が訊こえる。




私は彼の髪を撫でると、






「ごめんね。」





様々な意味を込めて謝罪した。

番外編 。。流彼様 リクエスト→←雨が281粒。



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バンビ(プロフ) - ぬうさん» いえいえ! (2017年4月5日 17時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - ありがとうございます! (2017年4月5日 16時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ぬうさん» 矢印を押してからアルファベットを打ったら出来ると思います! (2017年4月5日 14時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - あの、パスワード認証の大文字の打ち方がわかりません。どうするんですか? (2017年4月5日 14時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - アオアオさん» コメントありがとうございます!!祝いの言葉まで!次も頑張って書きます! (2017年2月15日 21時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ | 作成日時:2017年1月31日 21時

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