Rolling Days ～煩悩～３【S.S】 (ページ1)

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97、入り込んだ長い腕ページ1

久しぶりに会った彼は

少しだけ髪が伸びていて

以前よりも逞しくなった気がする。

だけど、この匂いや温もりは

何一つ変わっていなかった‥‥。

「A‥‥」

「翔‥‥」

見つめ合い

吸い寄せられるように唇を重ねようとすると

『はい、ストップ』

二人の間に入り込んだ長い腕。

この腕は‥‥、

『俺の目の前で何する気だよ！』

智さんだ‥‥。

「アンタまだ居たのかよ！？もー良いから帰れよ！」

「ちょ、ちょっと‥‥、智さんにそんな言い方‥‥」

「Aちゃん」

「は、はい！」

「俺への返事まだだよね？」

「はい、そうですけど‥‥」

「だったら、こーゆうのは反則だと思わない？」

確かに智さんの言う通りかもしれない‥‥。

「はい‥‥、そうですね」

彼から離れ、距離を置く。

「分かればよろしい。じゃあ、行こっか？」

にっこりと笑った智さんに腕を引かれて歩き出す。

「おい、待て！どこ行く気だよ！」

彼の呼び掛けに智さんは

「今からAちゃんと大事な話があるんだよ！オメーは付いて来るな！」

と言ったので、振り返り彼に向かって頷いた。

智さんの言う‘大事な話’とはきっと‥‥、

「さぁ、どーぞ！思いっきり振っちゃって！」

告白の返事だった。