グランド・フィナーレ/3 ページ8
軽音部の部室。
時計の秒針だけが忙しなく時を刻んでいく静かな部屋で、目の前に置かれたカップから立ち込める湯気が随分と呑気しているように見えた。
「いやぁ、凛月とこうして話せるなんて夢見たいじゃのう」
「…そういうのいいから」
長居するつもりはないと、手の甲でカップを押しのけた。こうして誘いを受けたのには、それなりの理由があったからだ。
「ところでさぁ、兄者」
「なんじゃ、凛月」
「兄者は、Aの居場所、知ってるんでしょ」
兄者はそれに驚いた素振りもせず、ようやっと気付いたかというように嗤った。
やはり、と少し鋭い目で兄者を睨みつける。
「…よく気付いたのう。
でも、知ってるのは我輩だけじゃない筈じゃが…」
「優しいまーくん達と比べて、兄者は案外容赦ないから、口を割らせるのはあんたの方が容易いと思ったんだよ」
「酷いのう…まぁ、我輩もそろそろ言いたくてウズウズしてた頃じゃけど」
兄者は棺を開けると、そこから四つ折りの紙を取り出した。紙を広げると、どうやらそれは手書きの地図のようだった。
「…ここにAが居るの?」
「あぁ」
もう一度よく地図を見た。分かりやすく事細かに書かれた地図の目的地は、何度見ても__
「__墓地、なんだけど」
「…そうじゃな」
流石にバツが悪いと言うように、兄者は少しだけ目を伏せた。
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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました! (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました; (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…!コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…! (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました! (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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