グランド・フィナーレ／２ ページ7
Aの言葉を口にすると、皆が顔を顰めしらばっくれた。
知らぬが花というようなその態度に、焦りとともに漠然とした不安が煽られているような気がして、未だ贈り物の内容も確認出来ないまま。
電話も通じないし、学園でも見かけないし、
「どこに行ったの、A＿＿」
まるで、世界から彼女だけが切り取られたようだった。
何故か、昨日の会話を思い出した。
まーくんの言葉を信じるなら、Aは俺の見舞いには来ていない、でも、あの箱は間違いなくAの贈り物な筈。
渡してくれと、誰かに頼んだのだろうか。そんな薄情な事を頼むくらいなら直接渡してくれればいいのに…
そこで、言葉の矛盾に気が付いた。
そういえば、どうして彼女は見舞いに来なかったのだろう。
何か理由があったのか、でも、暇くらい幾らでもあるし作れる筈。それに、俺だってAに会いたいって、思ってたに、違、い、な、い＿＿
「…あ、れ？」
入院中、俺は一度もAに会いたいと思わなかったのだろうか。
思ってることは割と直ぐ口にできる。
その気になれば電話なりなんなりして「寂しい」と口にすることだって容易いことの筈。
でも、そんなことをねだった記憶はなくて、それどころか、彼女が恋しく感じた記憶も、無い。
なんで、と、自分の事なのに不思議で堪らなくなった時、
「＿＿りーつ」
その声に、考えていた事が風のように飛んでいく。
ゲッ、と詰まったような声と不機嫌を主張する顔を作るのは最早反射の域であった。
「奇遇じゃのう、凛月」
「うわ、出た」
化け物のような扱いをしてやったにも関わらず、流すように笑う兄者。
「どうじゃ？久し振りに二人でお茶でもしないかえ？」
いつもなら断る一択のその申し出、兄者だってダメ元で聞いたに違いない。
それを受けたのは、気紛れでもなければ気の迷いでもない。
「いいよ」
確かに承諾すれば、兄者は驚いたように目を瞠った。
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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました！ (2018年11月6日 0時) (
レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました； (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…！コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…！ (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました！ (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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