Algún día seré tu príncipe/5 ページ23
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風が吹いている。そのおかげで雲は剥がれて、星だけがきらきらと光っていた。昼間になればかなり生徒で賑わっている此処も、夜になって仕舞えば夜闇の怪しさだけが残る。
「 …君は、こんな結末望んでないかな 」
やはり、変えられなかった。何も変えられなかった。解決法はこれしかない訳だし、仕方がないとも思う。これで君の記憶に、僕が留まってくれるのなら。安全の為に設置されたフェンスを掴む。こんなところによじ登るなんて子供の頃にも体験していない。恐怖を覚えるべきなのに、何故だか心の中には愉しさが充満していた。
びゅうと一層強く吹いた風に乗ってピアノの音が聞こえた。ああきっと、もう一人ぼっちではなくなった吸血鬼だ。衣更くんと帰ったのではなかったのか。君はそれを、誰の為に弾いているのだろう。僕の為かな。もしお兄さんに頼まれていたとしたら、それはそれで皮肉だね。
足を一歩踏み出す。これで楽になれる。最後にもう一度彼女に伝えたい言葉があった。それは山程。けれど遺言としては、この言葉が最適である。旋律はどんどん刻まれていった。レクイエムは、ラフマニノフか。重力に愛されて、下へ下へと惹きつけられていく。あぁ、あそこに打ち付けられたのなら、彼女は僕を思い出してくれる。そう思えば、怖くなんかない。心臓は正常に脈打って、以前彼女と鑑賞した映画を思い出した。それはやはり最後王子様が死ぬなんてストーリーではなかった。
「 僕は君の、王子様になれたかな 」
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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました! (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました; (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…!コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…! (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました! (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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