検索窓
今日:5 hit、昨日:4 hit、合計:21,561 hit

Algún día seré tu príncipe/5 ページ23






風が吹いている。そのおかげで雲は剥がれて、星だけがきらきらと光っていた。昼間になればかなり生徒で賑わっている此処も、夜になって仕舞えば夜闇の怪しさだけが残る。



「 …君は、こんな結末望んでないかな 」



やはり、変えられなかった。何も変えられなかった。解決法はこれしかない訳だし、仕方がないとも思う。これで君の記憶に、僕が留まってくれるのなら。安全の為に設置されたフェンスを掴む。こんなところによじ登るなんて子供の頃にも体験していない。恐怖を覚えるべきなのに、何故だか心の中には愉しさが充満していた。



びゅうと一層強く吹いた風に乗ってピアノの音が聞こえた。ああきっと、もう一人ぼっちではなくなった吸血鬼だ。衣更くんと帰ったのではなかったのか。君はそれを、誰の為に弾いているのだろう。僕の為かな。もしお兄さんに頼まれていたとしたら、それはそれで皮肉だね。


足を一歩踏み出す。これで楽になれる。最後にもう一度彼女に伝えたい言葉があった。それは山程。けれど遺言としては、この言葉が最適である。旋律はどんどん刻まれていった。レクイエムは、ラフマニノフか。重力に愛されて、下へ下へと惹きつけられていく。あぁ、あそこに打ち付けられたのなら、彼女は僕を思い出してくれる。そう思えば、怖くなんかない。心臓は正常に脈打って、以前彼女と鑑賞した映画を思い出した。それはやはり最後王子様が死ぬなんてストーリーではなかった。






「 僕は君の、王子様になれたかな 」






磔/1→←Algún día seré tu príncipe/4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
16人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました! (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました; (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…!コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…! (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました! (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:とくめい/ねむい x他1人 | 作者ホームページ:ございません  
作成日時:2018年3月17日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。