朧月の降る夜に/3 ページ40
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「 それで君は、ボクにこう言ったんダ 」
“ 月が近くにあるよ ”
「 そんなこといいました? 」
「 間違いないヨ、何なら君の記憶にでモ…
フフ、なんでもなイ 」
「 えぇ〜?何なんですか 」
「 ううン、目を閉じテ 」
「 Aが、怖い夢を見ませんように。 」
ーー×月22日
多分昨日も来たんだろうその人は、名前すら教えてくれない。けれど何故か、あの人のことをもっと知りたい。1日ずつリセットされてしまうんだろう、それなら1日ずつ違う話を聞いているのかな?書き留めておこう。そういえば、主治医の〇〇先生と今日初めて面談みたいなものをした。“ 人が目の前で死んだらどう思うか ”なんて。その質問に、私は答えられなかった。悲しそうに目を伏せるから、あの人にも心はあるのだろう。
あぁそうだ、“ 月が近くにあるよ ”。何かのヒントにでもなるのだろうか?どちらにせよあの人の言葉だ、綴っておこうと思う。
その日は主治医の部屋に忍び込んだ。対処法が見つからないままの“ 被験体 ”は何をしても咎められないらしく、堂々とそこに入っていったのだ。光が遮断されたその部屋の机の上に、一枚の紙を見つける。彼女の名前が目に入った瞬間、息が止まりそうな程に苦しくなって顔が歪んでしまった。
後天性忘愛症候群、母子遺伝は無し
尚、治療法はーー
「 …… 」
喉の奥で扉が音を立てて閉まった。ぎぎぎ、と建てつけの悪い音と共に息だけが通り抜けてくる。紙がボクに、もう知っているかと思った、なんて告げた。ぞわぞわとした感覚が全身を駆け抜けて思わず手を引き抜くと皮膚が切れる。その小さな音を合図にして赤が球となって紙の上に落ちた。
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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました! (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました; (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…!コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…! (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました! (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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