No.6 ページ8
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承「あんたがスタンド使いだと言う事は分かった。
だが目的はなんだ。」
1番知りたかった事を未だ知れていなかったからか、
承太郎には少しだけ警戒心が残っていた。
しかしそんな様子の承太郎を気にもせずAは平然と
言って退けた。
『単純に好奇心です。周りにスタンドを使える人が居なかったもので色々と気になってしまって。』
自分に危害を加えようとした訳ではない事が漸く分かり
承太郎は初めて警戒を解いた。
Aはベンチからゆっくり立ち上がる。
『…でもまぁ、本人にバレたなら詮索はやめます。』
承「あぁ。そうしてくれ。」
承太郎もつられて立ち上がった。
『えぇ。ですが貴重なスタンド仲間。互いを認識出来て良かったです。』
承太郎の方を向き少しだけ微笑む。
その笑みは承太郎には寂しそうにも嬉しそうにも見えた。
確かに一理あるだろう。いざと言う時は
互いに助けになれるかもしれない、と承太郎は思った。
承「フン…そうだな。」
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カバンを持ち公園を2人で出る。
公園を越えた先の曲がり角で方向が別らしくそこまで歩く。
不思議と居心地は良く、出逢い方は良いものでは
無かったものの、承太郎は何故か嫌な気は全くしなかった。
寧ろ何処か懐かしささえ感じた程だった。
『私の事、ちゃんと覚えて下さいね?…えぇと…』
承「…承太郎でいい。あんたは有名人だから忘れねぇよ。」
『はい、承太郎くん。…私は有名人だなんて大それた者じゃないですよ。』
あっという間に曲がり角に着く。
承「急に呼び止めて悪かったな。……、、。」
承太郎は彼女を何て呼べば良いか分からず口を閉ざす。
そんな様子を見てAはまた寂しそうに微笑んだ。
『…私の事はAと呼んで下さい。
ではまた明日。』
そういうと承太郎の返事など待たずに歩いて行ってしまった。
承「……あぁ。……じゃあなA。」
ぼうっとしていた承太郎は遅れて挨拶をしたがAの背中は、もうかなり遠くにあった。
聞こえていないであろう承太郎の挨拶は夕方の風に溶けて消えた。
5月下旬の事だった。
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千夏 - 二人の距離感がすごく好きです。無理のない範囲での更新、楽しみに待ってます! (2022年5月18日 18時) (レス) @page17 id: 86c828af75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽんで | 作成日時:2022年1月12日 1時