灰しか残らないくらい ページ15
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無意識のうちにやらかしてしまった首無は自分で自分の行動に驚き、彼女からパッと離れた。
彼女も驚いた顔をしている。
すると…
「…おーい。
もう、いいかー…?」
後ろには、死んだ目の、リクオ、毛倡妓、河童の三人衆。
三人の前だったことに今更ながら気がつき、二人は慌てふためいた。
「あとで、二人でやってくれ」
と、リクオが苦笑した。
『「すみません…」』
ーーーーー
「とりあえず、外出るぞ」
主を失った屋敷妖怪には、もうその禍々しさや特異能力はなくなっていた。
そこに鎮座しているだけの屋敷妖怪はもはや普通の屋敷なので、なんの苦労もなく外に出ることができた。
『リクオ様…』
「なんだ…?」
『この屋敷…
燃やしちゃってください。
灰しか残らないくらい』
「わかった…任せろ」
その屋敷は、リクオによって燃やし尽くされた。
その光景を見ながら、彼女と首無はどちらからともなく、お互いの指が触れ合い、二人の手がぎゅっと結ばれた。
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作者名:怜。 | 作成日時:2020年8月13日 13時