回復 ページ16
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その後、奴良組に帰ってきた一行は、すぐにAに手当てを受けさせた。
全身の雷によるやけど。
妖力抑制による体力の消耗。
何百年も手足首から離れなかった枷の跡。
思ったよりも重症だった。
彼女は奴良組に着いた途端、崩れ落ち、夢の世界へ誘われ、それから丸二日、眠り続けた。
首無はずっと彼女の看病をしていた。
ーーーーー
彼女は手に温もりを感じて目を覚ました。
周りの様子を窺うと首無が自分の手を握り、船を漕いでいる姿があった。
『…首無』
首無は彼女が目を覚ましたことに気がついた。
「…A、大丈夫か…?
身体痛くないか…?」
『…うん』
彼女はニッコリ微笑む。
『もう大丈夫。
首無が看病してくれたの?』
「あぁ、鴆様と鯉伴様も助けてくれたよ」
彼女はほぼほぼ完治していた。
やけども消え、手脚の血が滲んだ枷跡もほとんど消えていた。
鯉伴の治癒能力と鴆の薬があったからこそ、ここまで完治が早かったとも言えるだろう。
『そっか、あとで、お礼言わないとね』
「なぁ、A…」
『ん?』
「身体動かせるか…?」
『ん?うん。
どうしたの?』
「今夜、流星群が見られるそうだ。
だから…一緒に見ないか…?」
『…っ!』
彼女は弾けるような笑顔で頷いた。
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作者名:怜。 | 作成日時:2020年8月13日 13時