いや、陰陽師の才能ないんで 4【ぬらりひょんの孫】

第174話〈足して2で割れ〉 ページ29

一方その頃………、




有「ねーえー！っこれは？これを押したらどうなるの！？」

『あ"ぁーもうっ！！うるさいうるさい！！そろそろ黙れ！！』

有「ひどいよ〜ちょっとぐらいいいじゃーん」

『お前のちょっとはちょっとじゃねーだろうが(怒)
つかちびっこ！アンタこんなとこにいていいのか！？他のやつらどっか行ったんだろ！？』

圓「そうですよ、有行殿。こんなところで油を売っていてもいい事はありません」




私の携帯の画面を指差しながら(奪われた)ちびっこが不思議そうにたくさんの質問をしてくる。

あまりにもしつこいから誰か助けてくれー！とか思ったけどお前は呼んでないわ、圓潮。



後ろ手で戸を閉めながらこちらに歩いてくる圓潮の頭には相変わらず包帯が巻かれており、半分の目は手書きで描かれている。


初めて会った時、思わず『それ目描く必要ある？』と聞いたらすごい睨まれた記憶はまだ新しい。そっから嫌われちゃった、てへっ。



ちびっこ曰く、山ン本さんを裏切った時にやられたらしいけどドンマイとしか言いようがないよねぇ。




有「だぁって…つまんないんだもん。水蛭子(ひるこ)も九州行っちゃうし……Aといた方が楽しいもーん！」

『圓潮、ちびっこうぜーからどっかやって』

圓「貴方の指図は受けません」

『ｯチ』




なんでかコイツ、私に当たり強いんだけど(嫌われてるから)いや、まぁね？敵だから。それは分かってるけどさ？もうちょっと歩み寄ってくれてもよくない？？ちびっこと圓潮、足して2で割れよ。




圓「有行殿は行かれないのですか？」

有「……最初は黒装だけでやるってさ。そんなのボクまで回ってこないじゃん！
＿＿＿＿＿＿水蛭子と天海がいるんじゃあね」




少しだけ、

少しだけ背筋が震えた気がした。



………あぁ、苦手だ。

このちびっこの、時折見せるゾクッとするような目が苦手。

全てを見透かしたような目が苦手。




ふぅ、と気付かれないよう、息をつくとまた誰かがやってくる。




「有行様…雄呂血様(おろち)がお呼びですよ」




見た目も声も可愛いときた。
ゴスロリ系の黒い衣装を身に纏い、決して趣味がいいとは言えない人形を胸に抱いているその女は、


6代目当主 御門院心結心結(ごかどいんゆいゆい)




心「Aさん。有行様をお借りしても？」




ニコッと微笑みかけてくる心結心結に『むしろもっていって(食い気味)』と頼んでしまったのは仕方がないことだろう。

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