29話 ページ30
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唐突な化物の出現…
しかも、命を脅かす化物の出現にも、誰1人として逃げようとはしなかった。
その存在を認識できてない訳じゃない…
ただ…圧倒的に経験が不足していたんだ。
今まで経験した事のない突拍子のない事態に、どう対処すべきか判断が下せないでいたんだ…
その事実は…この場においては致命的だった。
モノクマ「うぷぷ…そうそう、これこれ。
この絶望感満載のノリだよね!
やっぱ、見せしめはこうでなくっちゃね!
アーッハッハッハッハッハッハ!!」
興奮した高笑いを響かせるモノクマとは対照的に、私達はすっかり固まっていた。
呼吸をする事さえ忘れたように固まったまま…
…呆然と立ち尽くしていた。
私達は無力だった…
大量の水に溺れて流されるアリと同じだ。
モノクマ「さて、これでオマエラもわかってくれたと思うけど…
あのね、オマエラはボクに逆らえないんだよ。
無残な海の藻くずになりたくなかったら、ボクには決して逆らわない事だね!
言っとくけど…ボクには同情も憐れみもないよ。
だって、ボクはクマだからね。
南の島でテンション上がっちゃった…なんて言い訳は、一切適用しないんだからねっ!
それと、『コロシアイ修学旅行』を始めるにあたって、電子生徒手帳をアップデートしておいたからね。
そこに『コロシアイ修学旅行』のルールがあるので、後でじっくりと読んでおいてください。
ルールを知らなかったなんて言い訳が適用しないのは、どこの世界でもどこの会社でも一緒だよ。
ではでは…
開放的で過酷で凄惨な南国の島での修学旅行をどうぞ、お楽しみあれー!」
モノクマは一方的にそれだけ言い残して…
"モノケモノ"という化物達と共に、私達の前から去っていった…
今日一日の間でいろいろなことがあり、私は酷く疲れていた。
希望ヶ峰学園の入学式に出るはずだったのに気付いたら、ジャバウォック島らしき島に連れてこられていて…
初恋である幼馴染に忘れられていて…
この島から出るには誰かを殺して、学級裁判から逃げ延びらなければいけないって言われて…
何もかもが理不尽の連続で…
もう、ここがエピローグでも構わなかった。
それは…誰もが一緒…
この場の誰もが、疲れ切った顔を青く染めていた。
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作者名:雪猫 | 作成日時:2017年8月26日 5時