31話 ページ32
.
十神「…ここにいる俺達自身の方だ。
見ず知らずの連中と共に南国の島に連れて来られ、そこで殺し合いを命じられ…
そうやって植え付けられた絶望的な恐怖心から逃れたいという気持ちこそが…
…俺達の最大の敵なんだ。」
私達は…自然と互いの顔を見回していた…
その顔付きを見れば一目瞭然だった。
その場の誰もが…
今の言葉を認めてしまっていた。
私にも"その可能性"があるという事を、
認めてしまっていたんだ。
さっきの七海さんらしき人見たく、
殺される可能性だって…
殺す可能性だって…あるんだ。
"ここにいる人を殺した生徒だけがこの島から脱出できる…"
この絶望的な状況から逃げ出す為には、
他人を犠牲にしなければならない…
けど、それが起らないとは言い切れない。
むしろ、"その可能性"の方がありえるんだ。
私自身も…
本当にそんな事しないって言い切れる訳ない。
この悪夢のような状況の中では…
誰もそれを言いきれる自信なんてあるはずないんだ。
私達に植え付けられた疑心暗鬼は、
他人に対してだけではなくて…
自分自身に対してもそうだった。
…だからこそ、絶望的。
その日は、私にとって…
非日常の始まりだった_________________
.
81人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪猫 | 作成日時:2017年8月26日 5時