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そして翌日。
気合いを入れるために銭湯へ。
富士山の前に仁王立ちし、手を合わせる。
お願いします。
今日の作戦が無事成功しますように。
Aが少しでも元気になりますように。
「うわっ!!」
「あ、お先に。いつもながらいい湯加減でした。」
入るなり全裸で仁王立ちしている若者に驚くおばさま方に一礼し、浴場を出る。
「...遅い。」
「だって富士山に願掛けしてたんだもん...君は?」
「え、してないけど?」
「バカ!それじゃここに誘った意味ないじゃん!もう1回入ってきて!!」
「えーめんどくさいよ。」
「何言ってんの!これもAのためなの!はい、さっさと行く!!」
龍斗くんを待つ間、フルーツ牛乳と15分100円のマッサージを堪能する。
すっかりリフレッシュできた私は、のぼせ気味の龍斗くんと銭湯を出た。
今から主役に会いに行きます。
「...あれから連絡ついた?」
「ううん全然。でもAのことだから家で引きこもってるはず...だから行ってみる。」
「そうだな...家族は誰かいるだろうし何とか会うだけでも、」
「何甘いこと言ってんのよ!絶対に引っ張って行くから夜露死苦!!」
「森口さん...この数日で確実にカンナさんに影響されてるね。」
松村家の玄関に到着。
インターホンを1回、2回...
『...はい、』
男の人の声、お父さんかな?
『あ、森口です、ご無沙汰しております。』
『え、もりぐっちゃん?』
程なくドアがバタンと開く。
「...久しぶり。」
出迎えてくれたのは、疲れた顔の北斗さんだった。
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作者名:Momanao | 作成日時:2021年1月4日 1時