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土曜日も家でのんびりと過ごす。
楽しい時間はあっという間にすぎて、日曜日。
昨晩はまた遅くまで伊野尾さんをゲームに付き合わせてしまい、昼過ぎまで寝てしまう。
朝食兼昼食を済ませ、洗い物をしている私に伊野尾さんが声をかける。
「ねぇ、今から海、行かない?」
「え、海、ですか?」
「うん。いい天気だしせっかくだから、ね?」
「...そうですね。じゃあ、連れて行って下さい。」
初めてのドライブ。
まだ、人もまばらな海水浴場。
しばらく2人で潮風にあたる。
「気持ちいいねぇ。」
背伸びをしながら目を細める伊野尾さん。
「そうですね。」
横で頷く私。
...何となく、気づきたくないけど、気づいてる。
伊野尾さんは、私に話したいことが、ある。
大事なこと。
...これ以上、気付かないふりをするのは意地悪だよね。
「...あの、迎えに行かなくていいんですか?」
「え?」
「ご実家に。」
「あ、うん。今日はまだ帰ってこない。もう少し、先かな?」
「どうして?」
「うん。...体調、悪くて。」
「え、大丈夫なんですか?」
「うん...2人目、出来たんだ。」
そうかぁ。
だから、ずっと変だったんだ。
伊野尾さんも、1人で悩んでたんだね。
うん。
いつまでも、こんなことしてちゃダメだよね。
この後、伊野尾さんが話す台詞は、想像がつく。
...ごめんなさい。
最後のわがままです。
伊野尾さんから、別れの言葉を聞きたくない。
私から、言わせて。
「もう、2人で会うのは終わりにしましょう。」
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作者名:Momanao | 作成日時:2019年9月8日 23時