【歌い手】例の歌い手…実は。3

109(まふまふside) ページ11

年越し会も終わって、楽屋で一休みしていた。



楽屋に来るはずだったAちゃんの姿がなくて…



まふ「Aちゃん？」



「ひゃい！？」



舞台裏で観客席を心配そうに眺めているAちゃんを見つけた。



…あ、そっか。



今日友達に伝える日だったんだね。



また一歩Aちゃんが進む日。



丸ちゃんのことも解決してから数日後、僕たちに本名を教えてくれた。



前までは丸ちゃんと、さかたんとセンラくんだけだったのに…



少なからずや嫉妬していたわけで。



教えてくれた時は心の底から嬉しかった。



あぁ。信用してくれたんだって。



佐藤ちゃんは明るくて、人懐っこくて、誰とでも仲良くなれて…



人見知りの僕にとって憧れだった。



でも、関わっていくうちに分かっていった。



佐藤ちゃんは本当は、誰も信用できなくて、甘え方を知らなくて、嫌われるのが怖くて。



…あれ？僕と同じじゃん。って。



そんなAちゃんが変わろうとしてる。



信用してみようってしてる。



信頼できる人を作ろうとしてる。



頑張ろうって前に進もうとしてる。



僕も、Aちゃんについて行ったら変われるかな…？



頑張れるかな…？



弱い僕が君を助けれるくらい強くなれる？




まふ「…大丈夫だよ。大好きな友達なんでしょ？」



「そうですね。多分あの子たちなら受け入れてくれるって思うんですけど…やっぱり不安なものは不安で。




もし、もし…これで…拒絶されたら。…なんて考えてしまうんです。」



ダメですねw と頼りなく笑うAちゃんは今にでも泣きそうで。



こんな時、さかたんは何て言うだろう？



うらたくんは？そらるさんは？センラくんは？志麻くんは？



…考えてみても僕にはできないことで。



…僕は、僕のやり方で。



正解なのか分からないけど。



やらないよりは…





まふ「Aちゃん。」




「…っ！」



そっと抱きしめる。



まふ「今は泣いちゃダメだよ。


…友達を信じないと。話し終わったらいくらでも僕の前で泣いていいから。…今はダメ。ちゃんと話しておいで。」




「…まふくんのその言葉に…泣きそうです…っ！」



正解だったみたい。




Aちゃんを見ると泣くまい！と目をパチパチしている。



可愛いな…。




とその姿にドキッとした。







ん？…ドキッと？

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