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「ね、零ちゃん♡」



とネクタイをグイッと掴みニッコリ笑った。



「いっぱいよしよししてでろでろに甘やかしてあげる」



それ、片付けておいて。とティーポットを指さしガーデンテラスを早歩きで出た。




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零は力いっぱい息を吐き頭を抱え込むよう座り込んだ。



「……はぁ、ヤベェ、………なんだよ……あれ…」



だが次外国から帰ってきた時、Aがいないと言う事をこの頃の零は思ってもいなかっただろう。


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「どうしても貴方のプロデュースが必要なんです。クライアントからの申し出でして……少しの期間こちらに戻ってきて下さい」



その言葉は数回聞いた事がある。けど何故か最終的には他の人に仕事が回って私は夢ノ咲にいる事が多かった。


なのに今回はリズリンに戻るよう事務所側からも学院側からも言われたのだ。



それも随分長くなるらしい、数ヵ月から半年かかるかもしれないと言われている。



仕方がないが戻るしかないだろう。みんなに挨拶もしたいのだがその暇さえ今はない状態だ。



それに零くん……あの子は今3年生だし卒業だろう。挨拶くらいはしておきたかったが…………諦めるしかないか。



まあアイドルなんだしそのうち会うだろう。




私はデスクに置いてあった資料を片付けていれば隣りに座っていた先生が話しかけてきた。

確かこの先生は……



「佐賀美先生?」



「あれ、天野先生何で片付けてるんです?」



「あはは、実は事務所の方に呼ばれていまして」



「そっかあ、大変だな……機会があればお茶でも誘おうと思ったんだが」



「ふふっ、やめて下さいよ。でも、あったかいコンスープなら今度頂きますね」



「ははっ、こりゃ参ったな……でも生徒も悲しむな〜結構先生は生徒から人気だし……特に朔間や天祥院と仲がいいって聞きますし」



「確かに、今は朔間くん海外行ってるし挨拶できないのが少し残念ですね」



「あ〜でも朔間卒業できるかなあ……ほら、あいつ出席日数足りないから」



「あ〜、留学の件もありますしね……まあ、またこちらに来れる機会があれば……という事で」




また会うと言えど最後に会ったのがあんな形だから少しだけ気まずさもある。



「あ、いけない……私これから事務所に顔を出さなきゃ行けないんです!じゃあ失礼します!」



「お疲れ様です」

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作者名:X | 作成日時:2023年5月5日 21時

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