拾壱 ページ4
物吉と私は縁側に出て茶を呑む、他の皆は部屋の中、
『なんだか、いつもより落ち着く……』
物「最近、具合が悪そうだと皆さんにお聞きしましたが、大丈夫ですか?」
心配そうに、私の顔を覗き込む、
『大丈夫よ、ごめんね、心配させて、少しの間構ってあげられなかったから、今日は甘えていいよ』
両腕を広げて微笑むと、物吉は先程のようにパァッと瞳を輝かせ、抱きついてきた、
物「Aさん、大好きです!」
私の胸に顔を埋めて、擦り寄ってくる物吉をとても愛おしく感じる、
嗚呼、今、私は幸せだ、この子は本当に、人に幸運を運んでくれる、
私にはないものを、全て持っている、
そんなことを考えていると、私達二人に影が指した、
『鶴………、みんなのとこいなくていいの?』
鶴「嗚呼、Aのとこに行け、だってよ、全く、誰の部屋だと思ってんだか」
『気を遣ってくれたのは嬉しいけど、物吉に構ってあげないとなの……話でもしていましょうか……』
鶴「おう……………………」
……………………
(沈黙が辛い……………………)
鶴「お前さ」
『っ!?な、なに!?』
急に話しかけられたものだから、自然と体が強張る、
鶴「三日月に返事、返したのか」
『………………………………………………………………え?
嗚呼、今、一寸立て込んでるからって言ったら、鶴との夫婦関係を一度忘れた上で、ゆっくり考えてほしいって……』
肩に優しい衝撃が走る、
『鶴………?』
鶴丸が私の肩に頭を預けたのだ、
鶴「俺は、信じてる、お前の事を、お前の、言葉を」
物吉の頭を撫でる手と逆の手に、自身のそれを重ねられた、
『……………………うん、わかってるよ、言わなくったって』
眩しいんだ、一生懸命、相手に想いを告げる貴方達が、とっても、眩しい、
物「んん………A、さん……………………」
『……物吉、私は、ここに居るよ』
【今はまだ】
【居るのは、私自身】
___まだ、壊れたくはない。
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雪鰆 - めっちゃ面白いです!やっぱり鶴さんかっこいい〜 (2018年9月23日 14時) (レス) id: 835c76ad1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Dream | 作成日時:2018年5月26日 21時